写真家・ヨシダナギ、“東京脱出”の真相 島に移住して得た心の平穏と少数民族への熱情

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ヨシダナギ
3月26日、徳島「アミコ」を皮切りに全国で『ヨシダナギ写真展 HEROES-RELOADED-』がスタート(写真:Kei Ito/伊藤 圭)

世界各地の少数民族を訪ねて撮影した、目が覚めるような色彩の写真で知られるヨシダナギ。メディアに登場するのはたいてい国内外で撮影に臨んでいる時で、日本でどんな生活をしているのか、ほとんど知られていない。

脳裏に浮かんだ「屋久島しかない……!」

長時間の移動を厭わず、数々の辺境に足を運んできた彼女だが、意外なことにプライベートでは「アマゾンは翌日までに届くのがマスト」「どこにでも30分以内で行ける場所」を条件に、都内中心部での便利な生活に浸っていた。

東京で生まれ育ち、「東京が一番」と思っていたというヨシダナギは今、屋久島に住んでいる。それは、東京からの逃走だった。

2023年の春から秋にかけて、ヨシダナギは怯えていた。想像もしない形で信頼していた人たちとの関係がこじれ、人間不信に陥っていたのだ。もともと人見知りだった彼女は「人間って怖い……」と恐れを抱き、「一度、人間関係をリセットしなきゃ」と思い詰めた。

「とりあえず今の人間関係を断ち切らないと、このまま自分が飲み込まれていっちゃいそうな気がしたんです」

「逃げのプロ」を自称し、2021年には書籍『しれっと逃げ出すための本。』(PHP研究所)を出版しているヨシダナギの最優先事項は、「自分を守ること」。普段は出不精で、自宅に引きこもってゲームをしたり、ボーっと過ごすことを好むが、いざとなった時の行動は大胆だ。「東京から逃げ出そう」と思い立ち、「でもどこへ?」と自問自答した時、脳裏に浮かんだのは「屋久島しかない……!」。

【写真】屋久島の自宅でのヨシダナギ、ヒバオア島での撮影、サボテンの棘が靴を貫いて足に刺さったチチメカ族の撮影、マルケサス諸島、インドのラダック、真冬の白神山地という酷寒の仕事
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