
増加する権威主義体制
『なぜ悪人が上に立つのか』は、私たち自身が、良きリーダーをどう主体的に選んでいくのかということを問題提起し、多くの知見と事例から検証した非常に意欲的な一冊です。
この邦題がとても良いと思うのですが、原題"Corruptible: Who Gets Power and How It Changes Us"は「権力は腐敗しやすい:誰が権力を握るのか、権力は人間をどう変えるのか」という意味です。それに対する答えがこの邦題にある「悪人」であり、「悪人が権力を求めやすく、権力を握ると人は悪人になりやすい」ということになります。
現在、権威主義体制や独裁的な政治家の存在が、世界的に多くの人の不安を呼び起こしている状況だと思います。
世界の民主主義の状況についてまとめているV-demレポートでは、権威主義体制の国に住む人の人口が増加している(2003年には世界人口の50%が該当していたのが、2023年には71%まで増えている)ことが報告されています。
権威主義体制の増加と民主主義の衰退の背景には、グローバリゼーションや経済格差、SNSなどを用いた情報操作などがあることが指摘されてきました。
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