中野氏の言及の要点は次のようである。
石橋湛山、下村治によれば、このインフレの原因は戦争で供給力が縮小したこと(コストプッシュ)であり、国債→貨幣の過剰による需要過大(ディマンドプル)ではなかった。したがって過大な国債がインフレを招く例にはあたらない。むしろ逆に財政を拡大して、供給力を増強すべきだったのである。
この認識は正しいだろうか。
当時は、激しいインフレと生産の低下が併存していた。当然、まずインフレ抑止が先決とする「一挙安定論」と、一定程度まで生産を増やさなくてはならないとする「中間安定論」を代表とする論争も行われた。
何が何でもまずインフレを止める方針は、大量餓死をも招くであろう。生産復興が先決とする方針は、インフレに油を注ぐ。
実際には、インフレ抑制と生産復興を両にらみしつつ、困難な狭い道を通るほかなかった。
この記事は有料会員限定です
残り 1997文字
