「先制攻撃論」がトランプ政権内に燻っている 消えぬ米朝戦争懸念

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米国防総省は内部の議論についてコメントを避けたものの、広報担当者は、マティス長官が公の場で、北朝鮮危機への対応は外交主導だと発言したことを指摘。国務省は、軍事的選択肢の後ろ盾を持ちつつ外交を追求する必要がある、とのティラーソン氏の発言に言及した。

強硬派のシナリオによれば、北朝鮮の体制を転覆させるためではなく、正恩氏に道理をわきまえさせるために、1カ所の目標に対して限定的な攻撃を行うことが可能だという。政権転覆には、北朝鮮の唯一最大の同盟国である中国の同意が得られないという。

「トランプ大統領は、金正恩氏が唯一理解し尊重するのは、顔面へのパンチ一発だと確信しており、過去の米政権は、それを実行する勇気に欠けていたと考えている」と米政府高官は語った。

「少なくとも、先制攻撃について中国に事前警告すれば、中国政府は正恩氏に米国を脅かすプログラムの停止を強制しようとするだろうと考えている」と、同高官は述べた。

政府内の議論に詳しい人々によるこうした暴露が、北朝鮮指導部を脅かし、戦略の転換を促すための単なる心理戦争なのか、それともトランプ大統領の真剣な意図を反映したものなのかは、定かではない。

しかし、今回の南北会談や2月開催される平昌五輪を踏まえ、今後より攻撃計画に注力すべきかの米政権内の議論はその勢いを失いつつある。北朝鮮は、冬季五輪に選手団を派遣すると表明した。

北朝鮮が、外交対話の機会を利用して、米韓両国のあいだにヒビを入れようとしているだけで、真剣に交渉する意図はないと語る政府高官も複数いる。1950─53年の朝鮮戦争は平和条約ではなく停戦協定で終結したため、米韓両国と北朝鮮は厳密には、まだ戦争状態にある。

「この先どうなるか、誰にも分からない」

トランプ大統領の南北会談に対する公式反応は、おおむね好意的だが、時に懐疑的な口調も混じる。

「この先どうなるか、誰にもわからない」。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談を終えたトランプ大統領は10日、そう記者団に語った。文大統領は、長年北朝鮮との対話を主張。首都ソウルは、大規模な軍事衝突が起きれば大きな被害を受けるとみられている。

この数カ月、正恩氏と互いに侮辱と脅迫を繰り広げてきたトランプ大統領は、11日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、「おそらく非常に良い関係を築いている」と発言。

正恩氏と話したかどうかを問われると、「コメントしない。したとも、していないとも言わない」と述べ、詳細な言及を避けた。

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