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「11月株高のシナリオ」はまったく不変、「PHP問題」は「AI相場第3幕の幕開け」になるかもしれない

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AI・半導体関連企業の株価は下落中。PHP問題も起きたが、筆者は11月株高を予想する (写真:ロイター/アフロ)
  • 平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト
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株式市場は前向きで、セキュリティ投資需要が拡大するとの期待から、22日にはサイバーセキュリティクラウド、GMOグローバルサインHD、SHIFT、FFRIセキュリティなど、サイバーセキュリティ関連企業は急騰していた。翌23日は利益確定売りに押されたが、筆者が取材したメンテナンス担当者は、「今回はPHPだったが、今後はデータベースやOSなどでも脆弱性が発見される可能性がある。そのたびに個別対応を繰り返せば、本業への影響も避けられない」と指摘していた。ならば、上記のようなセキュリティ関連銘柄群は、今後も相場の中核に居座る可能性が大きい、ということになる。

AI相場は、エヌビディアなどの「AIを作る企業」の人気相場から、導入コストが低下したことにより、「AIで稼ぐ企業」の人気が高まっているが、加えて「AIを守る企業」の人気が始まろうとしている。しかし、市場はまだそのストーリーを十分に織り込んでいない可能性がある。この状態でAI相場が終わったと考えるのは早計ではないか。特に前述のサイバーセキュリティクラウドは、WAF(Web Application Firewall)、Webサイトの脆弱性対策、攻撃の検知・遮断などを手掛けており、「AIを守る企業」の「ど真ん中」に位置する。

現在の日経平均PER16.65倍は「かなり割安」

さて、これだけで11月株高を考えているわけではない。今週(26~30日)は中間決算発表が佳境を迎えるが、2027年3月期企業の通期利益は市場予想で10%前後の増益が見込まれている。しかも、AI関連企業が通期見通しを引き上げる可能性も大きく、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)はいよいよ4000円台に入ると思われる。23日現在の日経平均予想PER(株価収益率)は16.65倍だが、そのままの数字で考えても、4000×16.65=6万6600円となる。

ここで適正PERを考えて見たい。代表的な理論をもとにするとPER=1÷(r−g)と計算される。r とは割引率で、「無リスク金利」とERP(株式リスクプレミアム)の合計で、gとは名目成長率だ。つまりPER=1÷(無リスク金利+株式リスクプレミアム-名目成長率)となる。

通常、無リスク金利は10年債利回り(23日は約2.8%)が適用される。株式リスクプレミアムは歴史的に日本では5%、名目成長率は政府見通しでは3.4%となる。つまりPER=1÷(2.8%+5%-3.4%)=1÷4.4%=22.72だ。EPSの4000円にこの22.72倍のPERを掛けると、日経平均は9万円を超える。9万円という数字そのものを予想するつもりはないが、少なくとも、16倍台のPERが割安圏にあることは示唆している。

実際、名目GDP成長率3.4%に対して、TOPIX(東証株価指数)企業の利益成長率は5~12%程度、AI・半導体関連企業の利益成長率は20~30%超と言われており、名目経済成長率を、企業利益が大きく上回っている。

そんな中で、「史上最高の広義流動性」と、高水準の自己(自社)株買いやTOPIX改革などの市場構造改革が同時進行している。これらを考え、11月株高を唱えるわけである。市場は常に不安の先を読む。AIを作る企業、AIで稼ぐ企業に続き、今度はAIを守る企業へ。AI相場は終わったのではない。恩恵を受ける領域が広がっているだけだ。「PHP問題」は、後から振り返ると「AI相場第3幕の幕開け」だったと言えるときが来るのかもしれない。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

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