INDEX
アルバイト代を握りしめて買った「フランドルクラブ」のコート
高校時代におしゃれに目覚めた山本由紀さん(仮名、59歳)。雑誌『Olive』や『mc Sister』を愛読し、月に2万~3万円ほどのアルバイト代でDCブランドの服を買っていた。
特に印象深いのは、高校2年生の年末のことだった。由紀さんは近所の惣菜店やパン店でアルバイトをしており、12月の給料が出たのは大みそかだった。
まだ給料が「現金支給」だった時代、給料袋を受け取ると、由紀さんは大みそかの街を駅へと急いだ。電車を乗り継いで約30分、閉店間際の上本町の近鉄百貨店に駆け込んだ。
目的は「フランドルクラブ」の店舗だった。2週間ほど前、クリスマスの装飾がきらめくウィンドウで見かけたダッフルコート。白・黒・紺・茶があり、茶色がかわいいと思った。「買いに行くまで残っていますように!」この2週間ずっと祈りながら過ごした。
「今思えば、お取り置きしてもらえばよかったんですけど、そういう制度があることすら知らなかったんです」と由紀さん。高校生らしい、ほほえましいエピソードだ。
19時閉店間際に店舗へ駆け込み、見覚えのあるコートを見つけると、レジへ急いだ。もらったばかりの給料袋から現金を直接取り出し、購入した。こうして、茶色のダッフルコートは無事に由紀さんのものになったのである。


※ログイン後、コメント入力が可能です。