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数百万円《18世紀貴族の服》を分解する男…「買う人はいない」と言われた型紙が15000円で売れて「依頼の9割を断れる」ワケ

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紳士服
1730年頃につくられた、輝く紳士服(写真:長谷川彰良)
  • 久保 佳那 ライター・ブックライター

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あまり聞いたことのない肩書「衣服標本家」を名乗る長谷川彰良さん。その仕事内容は、自身が興味を持った18〜19世紀のヨーロッパ貴族が着ていたスーツや労働者の衣服を自ら集め、分解して構造を読み解くというもの。独自の研究から得た知見を「半・分解展」という展示で発表し、その当時の服を再現できる型紙も販売している。
面白そうだが、正直この仕事は儲かるのだろうか……?
尋ねると、初めて型紙を販売したとき、12日間の販売期間で売り上げは100万円を超えたという。型紙が、なぜそんなに売れるのか。仕入れ値が数百万円に及ぶ服を買い、依頼の9割を断りながら研究を続けられる収益構造と、「AI時代にも代替されない」立ち位置の築き方を聞いた。

長谷川さんは、18〜19世紀頃にヨーロッパの貴族や労働者が実際に着ていた古い紳士服やドレスなどの服を「標本化」している。ハサミを入れて分解して、使われている技術や素材、構造を明らかにしているのだ。

「衣服標本家」を名乗る長谷川彰良さん(写真:筆者撮影)

そして、その成果を発表する場として、10年以上にわたって展示「半・分解展」を開催してきた。会場では、服を半分だけ分解して、標本のようにパーツに分けて展示する。会場には、当時の服を再現した着用サンプルも置かれ、その服を再現できる型紙も販売されている。

この型紙こそが、長谷川さんの研究を支える収益の柱になっている。

フランス革命頃のスーツ。タイトにフィットするシルエットが美しい(写真:長谷川彰良)

「型紙なんて誰も買わない」と言われて

「型紙なんて買う人はいないよ」

型紙を売ろうと考えたとき、アパレル業界の知人たちから返ってきたのは、そんな言葉だった。「ソーイングブックは2000円くらいが相場だから、そのくらいじゃない」という声も多かったという。

きっかけは2回目の「半・分解展」だった。18〜19世紀の服の着心地を確かめてもらおうと、着用できるサンプルをサイズ別に制作した。さらに、制作に使った型紙を販売すれば、来場者自身も服を作り、その構造を確かめられる。型紙の販売は、展示での体験を服作りへつなげる試みとして始まったのだ。

分解することで服の構造を読み解き、実際に着用できるサンプルも制作した(写真:長谷川彰良)
【写真を見る】数百万円《18世紀貴族の服》を分解する男…「買う人はいない」と言われた型紙が15000円で売れて「依頼の9割を断れる」ワケ(21枚)
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