多くの日本企業が必要以上の個人情報を収集し、長期間保有している。サイバー犯罪集団は、こうして蓄積された膨大な情報に目をつけている。
9月下旬以降、日本では大規模な個人情報流出事件が相次いでいる。焼肉チェーンでは約1080万件、カラオケ大手では約872万件、リユース大手では最大約643万件、コンビニ大手では約216万件の個人情報が流出、あるいは流出したおそれがあることを明らかにした。さらに、大手カーシェアリングサービスでは約660万件の会員情報が流出したおそれがあり、その中には約160万件の運転免許証などの本人確認書類の画像も含まれていた。
これら5社だけでも、のべ約3500万件もの個人情報が流出、あるいは流出の危険にさらされたことになる。
「そもそも論」になるのだが、企業は、数百万人もの顧客の詳細な個人情報を収集・保有する必要があるのだろうか。
日本の企業への攻撃に関与したとされるランサムウェア集団「Qilin(キリン)」は、日本を「サイバーセキュリティ対策が世界でも最低水準にある国の一つ」と評した。相次ぐ情報漏洩は日本の脆弱性を浮き彫りにしている。
本連載で指摘してきたように、人工知能(AI)の進化はサイバー攻撃を低コスト化し、高速化・大規模化を可能にしている。企業や公的機関は、常時監視、脅威情報の分析、侵入の早期検知など、多層的な防御体制を強化しなければならない。
しかし、防御力の強化だけでは不十分だ。日本では、個人情報を「いかに盗まれないようにするか」という点に注力してきた一方で、「なぜ、それほど大量の情報を収集し、長期間保有する必要があるのか」という根本的な問いを軽視してきた。
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