トランプ大統領は「困っているから」では動かないが、「価値がある」と気がつけば動くかもしれない。プルトニウムは、原子力における廃棄物という視点からすれば「困っている」だけだが、核燃料として利用可能だと気がつけば「活用する」可能性がある。
レアアースを生産する際に放射性物質のトリウムが発生する。これは核分裂性ではないため、それだけでは原子炉に装荷しても核分裂反応を起こすことはできず、単なる廃棄物となっている。
トランプ大統領は「価値」に気づく?
これも、トリウムはレアアース生産時の廃棄物という視点では困っているだけだが、工夫すれば核燃料として利用可能だと気がつけば活用する可能性がある。
プルトニウムは、従来と同様にウラン238との抱き合わせで利用してしまうと再びプルトニウムを生み出すことから、既存の廃棄物再生産のループから離れることはできない。
しかし、核分裂性同位体を持たず、それだけでは核分裂反応を持続させられないトリウムとともに、「マッチの先」としてプルトニウムを利用すれば、トリウムから主として生成されるのはプルトニウムではなくウラン233となる。
これは、ウラン238を主要な親物質としてプルトニウムを再生産する燃料サイクルとは異なり、プルトニウムの新規生産を抑えながら核燃料を生み出すことができる。すなわち、プルトニウム再生産から離れ、かつ核燃料の利用拡大にもつなげることができる。
むろん、レアアース生産時に発生するトリウムが外部不経済にとどまることからも開放され、それどころかエネルギーと価値を生み出す。アメリカ自身が資源を持ち、海外にもエネルギー源として供給することで富を生み出しうる物質であることに気がつけば、両者を活用する方向に舵を切り始めることはありうるだろう。
上述の余剰プルトニウム活用プログラムで開放・供給されるプルトニウムは「使用済み核燃料由来」のものではなく、DOEが既存インベントリとして所有している「国防・余剰プルトニウム(約19.7トン)」に限定されている。
ただ、本プログラムは民間企業に対して「先進的なリサイクル・再処理技術」の提案を求めている。将来的にこうした余剰プルトニウムを活用した実証炉・燃料加工施設が立ち上がれば、それが将来的な使用済み核燃料の再処理技術や規制枠組みの足がかりとなることは期待できる。
アメリカでも、レアアース生産に伴って分離・処理されたトリウムは、筆者の推計では4000トン近くに達する(「レアアース確保の陰で膨らむトリウム、日本は『使うだけ』の国でよいのか、日本が避けて通れない国家備蓄論」参照)。さらに、今後も年間200トン近く発生すると推計される。
炉型や燃料サイクルによって変わるが、仮に4000トンのトリウムを利用する燃料サイクルに100トン程度のプルトニウムを初期核分裂性物質として投入すると仮定すれば、解体核からの約20トンだけでは足らない。そのため、使用済み核燃料の再処理も行い、そのプルトニウムも活用するビジョンも定量的には十分に描きうる。

