日本政府はグリーンランドのレアアース資源調査をこの夏、開始するという。成功裏に進めるにはどうすればよいか。そのカギを握るのはトリウムの対処だ。
これまで筆者は「レアアースにはトリウムが同伴する」という定性的な傾向について述べてきた。今回は、それがどの程度同伴するのか、その結果どの程度のトリウムが生まれてきたのか、また今後生まれるのか、その定量的な傾向を見てみよう。
インドでのトリウム蓄積量増大の理由
上の図を見てほしい。これはレアアースの年間生産量の経年変化だ。仮に今後年間2%の増加率で生産量が増えると仮定した。まず目を引くのは中国だ。今でこそ市場占有率はおよそ7割だが、2010年前後の占有率は実に97%に達していた。年間生産量は30万トン近くに達する。アメリカ、オーストラリアは12年から年間数万トンの生産を行っている。グリーンランドがどうなるかはわからないが、仮に28年から年間2万トンを生産すると仮定した。
その下の図は、レアアースの生産にともなって発生した、また今後発生するトリウムの蓄積量の経年変化とその予測値だ。中国におけるトリウムの蓄積量が1990年から急速に増加していることが見て取れる。アメリカやオーストラリアでのトリウムの蓄積量も、中国に比べれば少ないものの、着実に増えていく。この図で目立つのはインドだ。上の図では90年代までわずかなレアアースを生産しているに過ぎないのに、下の図では文字通り山のようにトリウムが蓄積されている。どういうことか。
レアアースと言っても、それを得るための鉱物は多種多様にある。インドは海岸に大量に溜まっているモナザイトが主な鉱物だ。中国の一大レアアース産地のバイヤンオボではバストネサイトとモナザイトが混在しているという、特殊で巨大な複合鉱床だ。
この記事は会員限定です
残り 2968文字

