松下幸之助は「人間は不正をするものだ」という前提を持つ経営者でしたが、実は、生物も同じです。ズルをすれば、エネルギーを消耗せずに生き延びることができます。ハイエナのように、他の動物が捕ったものを横取りするほうが楽なのですから、人間の中にもそういう人たちが現れるのは当たり前です。それをどう防ぐかを、仕組みの中に入れておく必要があるのです。
日本の集団社会は、特に個人の不正に対しては非常に敏感で、「掟破りは誰だ」と常にアンテナを張っています。だからこそ集団を守ることができるわけです。進化心理学分野では、こうした心理の仕組みを「裏切り者検出モジュール」と呼んでいます。
一方、アメリカ人は、隣りの人がなにかやっていても「ドント・ケア」と気にしないため、不正がはびこりやすい社会でもあります。
アメリカ人は「この指止まれ」で集団を作る
アメリカ人の場合は、目的を掲げて「この指止まれ」で集団を作ります。そして、参加する人に「こういう目的だけど、OKですか?」と確認するのですが、ここで重要になるのが「コミット」という単語です。
その目的に向かって責任を持ち、人生のある程度を捧げるというような意味ですが、それがイヤになった人が出てくると、「あなたはコミットしてる?」と問い直し、コミットしていないことがわかると「バイバイ」となります。
それは集団にいられなくなるプレッシャーでもありますが、本人にとっては、そのほうが転職もできるし楽なのです。しかし、日本ではパワハラになります。会社としては辞めて欲しい。でもそれができないので、本人はただ士気を下げる存在になってしまう。それが今、日本の企業を蝕んでいる状態とも言えます。
コミットしている人だけでチームを組んで、一生懸命やれるという点は、アメリカの強みです。だからこそ、新しい分野にどんどん進出できるのです。


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