「3階には、絵画や銀座東和時代から引き継いでいる柱時計を飾っているのですが、視線を移すと喫煙ブースが目に入る状態で、これでは世界観に没入できないだろうと。喫煙されるお客様も減ってきましたので、紙たばこはもう吸えなくてもいいだろうと、ブースをなくすことにしました」(秋山さん)
撤去したことで空いたスペースは客席として活用し、内装や美術品をより落ち着いて楽しめるようになった。現在は平日の17時以降に限り、専用席で加熱式たばこのみ喫煙できる。
建物の老朽化に伴い、キッチンの防水機能のメンテナンスや壁の張り替えなども行った。ただ、一目で「新しくなった」と感じさせるような大幅な刷新はしていない。オープン以来貫いてきた「大正ロマン」の世界観を守るためである。
銀座本館以外の他店も「大正ロマン」の基本コンセプトは変わらないが、すべての店を画一的な内装にしているわけではない。その地域の名所をモチーフにした絵画やステンドグラスを取り入れるなど、店舗ごとに特色を持たせている。
なぜ、各店でこうした違いがあるのか。もともと同社は、1号店のオープン後に「面影屋(おもかげや)」「驛舎(えきしゃ)」など、椿屋以外の屋号でそれぞれ趣の異なる喫茶店を展開していた。
ところが、2012年以降、当時代表取締役社長だった前会長の「椿屋ブランドを根付かせたい」という方針のもと、各店の屋号を順次「椿屋」へ統一。ただ、屋号はそろえても内装までは変えなかったため、その名残が今も受け継がれている。
ブラウスの色にも込められた空間づくりへのこだわり
こうした違いは、内装だけにとどまらない。実は、接客スタッフが着用している制服のブラウスの色も、立地や業態によって異なるのだ。
都心の路面店では、黒のシックなブラウスで高級感を演出。一方「椿屋カフェ」など商業施設内の店舗では、やわらかい印象を持たせる茶色のブラウスを採用している。


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