安さで選ばれる店ではないからこそ、その一杯を味わうひとときに満足してもらえるかどうかが、次の来店を左右する。では、客に価格への納得感を持ってもらうためには何が必要なのか。取材を進めると、同社が「価格に責任を持つ」姿勢を徹底し、コーヒーだけでなく接客や空間も含めた体験価値を追求していることが見えてきた。
接客からコーヒー技術まで、アルバイトへの手厚い教育
1杯1300円に見合う体験を提供するうえで欠かせないのが、スタッフの接客だ。ほどよい距離感を保ちつつ、客の表情に目を配り、求めていることを見逃さない。そんな接客を実践するには、アルバイトにも相応のスキルが求められる。
そこで同社では、社員だけでなくアルバイトに対しても本社主導の研修を行い、接客品質の向上をはかっている。アルバイトの指導を現場だけに任せない理由を、接客トレーナーとして本社の研修センターを運営するエグゼクティブチーフトレーナー・三橋泰子さんはこう説明する。
「アルバイトの方々は、社員以上にお客様と触れ合う機会が多いものです。一人ひとりの振る舞いがブランドの印象を左右するからこそ、店舗によって指導内容に差が出ないよう、本社で一定の基準に沿った教育を行っています」(三橋さん)
まず、アルバイトは勤務初日にいきなり店舗には立たない。本社の研修センターでトレーニングを受けたうえで、店舗に配属される流れになっている。初日の研修では、アルバイト同士が従業員役と来店客役に分かれてロールプレイングを行い、接客のイメージをつかんでもらう。
また、入社後200時間を迎える前には、次の段階として「スキルアップ研修」を設けている。コーヒーのこだわりを説明したり、顧客の好みを聞きながら最適な一杯を提案したりと、さまざまな場面を想定。商品提案スキルや、客とのコミュニケーション力の向上を目的としている。
研修では、三橋さんらトレーナーが一人ひとりにフィードバックを実施。良かった点や改善点を個別に伝え、その後自信を持って接客に臨めるよう後押ししている。
接客研修とは別の日に、コーヒーの抽出技術を指導する研修も行っている。そこで重点的に学ぶのが、椿屋珈琲の象徴ともいえるサイフォンでの抽出だ。


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