食器も注目だ。コーヒーカップをはじめ、「ロイヤル コペンハーゲン」の食器が使われている。上質な洋食器を手に取るだけで、少しリッチな気分にひたれる。
2025年にリニューアルした銀座本館。店内を見渡しながら「どこが新しくなったんだろう」と探してみた。しかし率直に言って、改装したばかりの店によくある真新しさは感じない。
では一体何を変えたのか。大きな変更点のひとつが、喫煙ブースの撤去だ。詳しくは後編で取り上げるが、1996年のオープン以来一貫している「大正ロマン」の趣は保ちつつ、時代や客のニーズに合わせて必要な部分は変えていく。そんな姿勢が表れていると感じた。
1時間ほど滞在したが、数組の客が帰るとまた新たな客が入り、席の埋まり具合はほとんど変わらなかった。いずれにしろ、時間に追われているような人は見当たらず、会話を楽しんだり、コーヒーを味わったりと、くつろぐために訪れている客が多いように見えた。
筆者もそのゆったりとした空気に身を任せ、食後しばらくはコーヒー片手に読書を楽しんだ。
「銀座」という立地で考える2000円の価値
冒頭で触れた通り業績は上向きで、今期もなおその勢いは衰えない。2027年4月期第1四半期(5〜7月)決算短信によると、客数も前年同期比100.6%と、わずかながら上回っている。6月は3度にわたる台風や大雨の影響で、客数が前期比96.0%まで落ち込んだ。一方、7月は猛暑によるドリンク需要が増加し、6月の落ち込みを持ち直したという。
椿屋珈琲グループ以外の業態も含む数字ではあるが、足元の業績・客数は堅調だ。高価格であるものの、客足が鈍っている傾向は見られない。同チェーンと言えば、ネット上では「メイド風衣装の制服」で語られることが多い印象だが、経営としては非常に堅実なのだ。
とはいえ、正直コーヒー1杯1300円は、筆者の金銭感覚では手が出しづらい。同じように感じる人もいるだろう。だが、食事とセットで利用したところ印象が変わった。カレー・サラダ・スープ、そしてコーヒーを含めて2080円。昨今、都心でランチをすると、1500円程度はかかることが多い。椿屋珈琲の場合、コーヒー・食事に加えて、ゆったり過ごせる空間もついてくることを考えると、割高感は薄れてくる。


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