そして、もう一つ見逃せないのが海外展開への可能性だ。『つるとんたん』はすでに海外フランチャイズ2店舗を持っており、今回の承継対象にも含まれている。サンマルクHDは、今回の買収によって海外展開の実績を持つ日本食ブランドを手に入れることになる。
日本を訪れた外国人にまず、日本でつるとんたんを食べてもらう。その後、帰国した客が「自分の国にもつるとんたんがある」と知れば、今度は海外店舗の利用につながる。インバウンドを国内店舗の売上だけで終わらせず、海外展開の入口にする。この循環をつくることができれば、ブランドの価値は国内店舗数だけでは測れなくなる。
どこまで『つるとんたん』らしさを維持できるか
今回の買収には、当然ながら難しさもある。『つるとんたん』の価値は、店舗ごとに異なるコンセプトや空間づくり、大きな器、豊富なメニューなど、「わざわざ行きたい」と思わせるブランド体験にあるからだ。
これを一般的なチェーン店のように大量出店すれば、希少性が失われ、これまで支持されてきたブランド体験が損なわれてしまう可能性もある。
今後サンマルクHDに求められるのは、単なる拡大ではない。拡大していく中で、どこまで『つるとんたん』らしさを維持できるかである。これは国内に限ったことではなく海外でも重要な視点だ。現地向けに商品を変えすぎれば日本食ブランドとしての魅力が薄れ、日本の味やサービスにこだわりすぎれば価格やオペレーションで現地市場に適応できない。ブランドを守りながら、現地で受け入れられる形にする。そのバランスが今後の海外展開の鍵になるだろう。
サンマルクHDにとって今回の『つるとんたん』の買収は、昨今のうどんブームにあやかったものではない。「日本の食を世界へ」という次の成長戦略を担う重要なブランドの獲得にあったのだ。


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