親に会うかどうかにかかわらず、「病気の遺伝の可能性を知っておきたい」という声は、筆者も取材で何度も聞いてきました。きょうだいに会いたい、という声もよく耳にしますが、そのためにはやはり血縁上の親を見つける必要があります。
生まれないほうがよかった
菊田氏がしたことをどう思っているのか。そう尋ねると、晃子さんは一瞬間を置き、逆に筆者にこう質問しました。「私ね、自分が養子だとわかる前から、よく人にこう聞いていたんですけれど。もし戻れるなら、何歳に戻りたいですか?」
不意な質問にうろたえつつ、「え、うーん10代? いやもうちょっと……」などと考え込んでいると、晃子さんはちょっと笑って、言いました。
「私はね、『生まれない』って答えていました。だから(菊田氏に対しては)余計なことをしてくれた、そのまま中絶してくれればよかったのに、って」。口調は軽いのですが、重い言葉でした。
これを読んで「せっかく命を救ってもらったのに」と感じる人もいるでしょう。でも、人は誰もこの世に生まれるかどうかを選べません。だから「生まれてきたくなかった」と思う人がいるのも自然なことという気がします。それは、養子であることとは別の話です。
晃子さんは以前SNSで、「中絶をやめ、出産した子を養親に託した」という人の投稿に「偉い」などと賞賛の声が寄せられるのを見て納得できず、自身の身の上を明かしたうえで、考えを伝えたといいます。
「自分がね、その(逆の)立場になってみてよ、と(苦笑)。もちろん養子に出されていいおうちに行けたらいいですけれど、(生まれたときと、あっせんされたときと)『親ガチャ2回失敗』するって、なかなかないですよ」
うならざるをえませんでした。養子縁組は子どもを幸せにすることが前提の制度ですが、実際のところ、養親に苦しんだ人の話をときどき聞くことがあります。


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