マスメディアで、「東大合格」「東大生が〜」といったフレーズを目にする機会はとても多い。それだけニーズが大きいのか、あるいは送り手の側にオリジナリティが欠如しているのかは知らないが、個人的には「また東大生ネタかー」と感じる機会が増えたような気もしている。
「よくある東大ネタ」だと思っていたが…
だから正直なところ、『ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで』(清野孝弥著、東洋経済新報社、プロローグの試し読みはこちら)というタイトルを目にしたときにも、“タイトルだけで響くなにか”はあまりなかった。
ところがこれは、「“東大系”によくあるヤツ」とはまったく違った。「家事、介護、そして勉強 それでも僕はこの家から東大に行く」というサブタイトルにあるとおり、苦難を抱えた青年が、与えられた環境のなかで東大を目指し、目標を実現するまでのストーリーなのである。
ヤングケアラーについては、いまさら説明するまでもないだろう。学業のかたわら、家事や介護など、本来であれば大人が担うべき家族のケアを担っている子どものことである。
学校では東大合格を目指す「受験生」。
家に帰れば、家族を支える「ヤングケアラー」。
誰にも相談できず、孤立した環境が続きました。
生活保護の子どもは大学に進学できない。
これは、高校3年生のときに言われた言葉です。
両親が働けなくなり、生活保護を受給していた僕らの家族は、常に貧困の問題と隣り合わせでした。だから、塾に通う経済的な余裕はなく、恵まれた環境で勉強ができる友だちのことをうらやんでいました。
(『ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで』「プロローグ」より)



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