本州と北海道を結ぶ青函トンネルも交流電気機関車の活躍の場だ。開業はJR化後の1988年3月だが、青函トンネル用として投入されたED79形は国鉄が最後に開発した電気機関車である。ED75形700番台を改造して誕生し、青森―函館間を結んだ快速「海峡」、ブルートレイン「北斗星」「トワイライトエクスプレス」、夜行急行「はまなす」、そして本州への貨物列車、イベント列車など青函トンネルを通る列車の牽引を担った。
北海道新幹線の開業と共に、青函トンネルを通る「在来線」の旅客列車は廃止され、新幹線と在来線の共用走行区間を走る貨物列車は新幹線規格の電化方式にも対応するEH800形が誕生して2014年から運用が開始された。現在、EH800形はJRグループで唯一の現役交流電気機関車である。
九州の「鳩胸」電気機関車
九州の国鉄(JR)も、電化区間は福岡市地下鉄と直通する筑肥線と、唐津線の唐津―西唐津間を除いて交流電化だ。1961年6月に鹿児島本線の門司港―久留米間が電化されたのを皮切りに、鹿児島本線、長崎本線、日豊本線などに広がった。機関車は、1961年の電化時にED72形、そして翌年にED73形が登場した。
どちらもくの字形に前面がとがった「鳩胸」の車体が特徴だったが、ED72形は客車の暖房用蒸気発生装置(SG)を搭載したことから車体が長くなり、その重量を支えるため車体中央部に駆動しない中間台車を持っていた。一方、ED73形はSGを搭載せず、主に貨物列車や、客車側に冷暖房などの電源を持つ「あさかぜ」「さくら」などのブルートレイン牽引に活躍した。筆者は度々、長崎本線などでED72形の牽く「さくら」を撮影している。

