昇進した途端、「必要な出費」が増えていく
ある会社員の真中は、課長代理への昇進をきっかけに百貨店の紳士服売り場を訪れます。
「管理職になったのだから、まずは身だしなみから」。そう考えると、それまで着ていたスーツが急に安っぽく見えてきます。取引先の前に立つ機会も増える。役職にふさわしい格好をするのは、仕事上必要なことだ――。
そうして約10万円のスーツを選ぶと、今度は靴や鞄、名刺入れが気になり始めます。一つだけ上質なものに替えると、周囲との「バランス」が悪く見えるからです。気づけば、その日の買い物だけで20万円を超えていました。
それでも本人には、ぜいたくをした感覚がありません。「身だしなみ」「仕事のため」「自己投資」という説明がつくからです。
しかも翌月、昇進後の給与明細を見ると、基本給と役職手当で額面は数万円増えていました。すると20万円の出費も、「これから稼げば取り返せる」と感じられるようになります。
ここに最初の罠があります。収入が増えると、支出に対する心理的なハードルが下がるのです。


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