「筆者が稼ぐのが下手くそなだけでは?」とクビをかしげる配達員もいるかもしれない。が、仮に100歩譲って“報酬の現状維持”に成功している配達員がいたとしても、すべての物価が上がっている今、それは実質的な“賃下げ”に等しい。この状況でヤル気の出る配達員がいたら、ぜひその心得を教えてほしいくらいだ。
顔見知りの配達員の姿は、もうほぼ誰も見なくなった。私自身、配達用バッグを背負って飲食店に行くと「めちゃくちゃ久しぶりじゃん!」「元気してた?」と店員さんに声を掛けられることがある。
ギグワークは時間の融通がきくので、精神的な部分を含め「働きやすさ」という点で強みはあるけれど、経済的な部分ではかなり足腰が弱ってきた印象を受ける。まともな人ほど限界を感じて離脱しやすく、私のような社会不適合者、変わり者が残存しやすい構造があるように思う。
なお企業の提供するサービスには「人」が欠かせないが、フードデリバリー業界の最前線で働く配達員は、正直なところピンキリだ。
経営が苦しいときこそ「人材」という武器が貴重になるわけだが、デリバリー配達員は雇用されているわけではないため、都合が悪くなったらすぐに他社へ乗り換えてしまう。もちろん、これは配達員が悪いわけではなく、そういうシステムなのだから仕方がない。
デリバリー各社がここから逆襲するのは、外的環境に変化がない限り、なかなか難しいのではないか。
札束で殴り合うデリバリー企業
デリバリー各社の間で「これ」といった差別化ができていない点も、この業界の競争をより激しくしている。どのデリバリー会社もほぼ同じ飲食店、ほぼ同じ価格帯のメニューを取り扱っている以上、サービス利用者からするとぶっちゃけ、どのデリバリー会社で料理を頼もうが「差」は生まれない。
これといった差別化ができていないからこそ、クーポンの配布や店頭と同じ価格での配送など、血で血を洗うような札束の殴り合い。価格競争という名のデスマッチが繰り広げられているのだろう。
その一方で、そもそも配達員が満足できる報酬をデリバリー価格に乗せて、さらにその価格でもお客様が「まあ、これくらいならいいかな」と許してくれて、それでいてデリバリー会社にも利益が生まれる……。こんな夢みたいな状況をいったいどうすれば実現できるのか、頭の悪い私には皆目見当がつかない。


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