7月17日に配信した前編では、大学発スタートアップが直面する3つの大きな壁(「資金調達」「兼業規定と利益相反」「経営人材の確保(組織づくり)」)を挙げ、その中でまず資金調達の難しさと、解決の糸口となる標準的な調達スキームをご紹介した。
しかし、大学発スタートアップにとって「兼業規定と利益相反」「経営人材の確保(組織づくり)」という壁にも向き合わなければならない。とくに、CFOやCOOといった優秀なCxO(経営役員)人材の確保が難しい。ここでは、人材確保や研究と事業をどう両立させていくかといった点を中心にその解決策の例を紹介していきたい。
大学発スタートアップを阻む「CxO人材不足」と資金のジレンマ
理系領域の技術を持つ大学の研究者がCTOや技術顧問を担うのは自然な流れだが、社会実装後の営業・販路拡大を担うCOOや、財務やファイナンスを司るCFOを自力で見つけてチームを組成するのは難しい。研究者が専門外の領域を兼務すべきではなく、専門経験を持つ外部人材の獲得が急務となる。
よく新規事業は「ヒト・モノ・カネ」の3種類の総合競技に例えられる。大学発スタートアップは技術シーズという「モノ」のカードはあっても、残る「ヒト」と「カネ」のカードをどう確保するかが事業成長のカギを握る。
人材獲得の壁を考えるにあたって、岐阜大学発のFiberCrazeの事例を紹介したい。同社は岐阜大学の基礎研究の1つである繊維の多孔化技術を元に多機能シャツを開発するスタートアップだ。創設者(ファウンダー)は長曽我部竣也氏だが、研究や技術領域に関しては大学の指導教官である武野明義先生をCTOとして迎え担当してもらっている。教え子の長曽我部氏は、CEOや経営実務を担い、ピッチイベントへの登壇や営業や経営実務に携わるなど、適切に役割を分担している。研究室のOBや学生からリファラルで経営チームを組成するのは、大学発スタートアップの人材採用のよくあるパターンではある。
現在、研究者やベンチャー支援を行う民間企業のリバネスや、国の支援機関であるNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などは、CxO人材のマッチングや採用支援を積極的に行っている。NEDOは川崎市、川崎市産業振興財団と共同で川崎駅前にコワーキングスペース支援施設 (K-NIC)を運営し、さらに同所で個別相談会や事業育成プログラムなども開催している。
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