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底が見えない市場後退に見舞われている紙の雑誌。今年も、KADOKAWAの月刊誌『ダ・ヴィンチ』の休刊や有力経済誌『週刊ダイヤモンド』の紙媒体での発行終了が発表された。「情報インフラ」としての存在が揺らいでる雑誌は、一体どこへ向かうのか。日本雑誌協会の野間省伸理事長(講談社社長)が書面インタビューに応じ、現状への認識や展望について語った。
――紙の雑誌の休刊が相次いでいます。市場環境や存在意義について、どのように捉えていますか。
紙の雑誌の市場規模(推定販売額)は1997年の1兆5644億円から4分の1以下(2025年は3708億円)にまで縮小しており、大変厳しい環境にある。残念ながら、この状況がピーク時の規模に戻るとは考えにくいのは確かだ。雑誌関連でも紙からデジタルに移行しており、デジタルの売り上げは増加している。そもそも紙とデジタルを分けて考えること自体を「古い」と捉える雑誌媒体や出版社も増えているだろう。
ただ、紙の雑誌の減少は書店にはもちろん、取次会社への影響が大きい。長い間、紙の雑誌文化を支え続けてきた10 代や 20 代の読者が紙の雑誌を選ばなくなっていることには特に真摯に向き合い、若い人たちの消費行動に合わせた雑誌を提供していかなくてはならない。スマホなどでタイムリーな情報を求めるのが習慣になっている若い読者には、雑誌の内容についてもそうだが、週刊や月刊という雑誌の刊行サイクルも合わなくなっているだろう。そもそも「定期刊行誌である必要があるのか」という、雑誌の本質に関わるところまで考えなくてはいけない。
そのうえで、デジタル媒体に比べればじっくり取材して編集した記事や作品などのコンテンツを、時間をかけて読むのに適した一覧性や、捨てずに取っておける保存性、それから信頼性といった面で、紙の雑誌はまだまだニーズに応えられるのではないかと思っている。
紙とデジタルで使い分け
――デジタル全盛の今、小学館の文芸誌『GOAT』のように、紙の質感やデザインにこだわった新しい雑誌ブランドが話題を呼ぶケースもあります。
今の時代に、あえて紙で読者に届けることに勝機があると考えて挑戦するのはすばらしい。例えば講談社の『FRaU』のように、SDGsというテーマを中心に置くのなら、デジタルより紙の雑誌で勝負するほうが、広告も含めて圧倒的に相性がよいと思う。読者にしてもクライアントにしても、記事のURLがメールで送られてくるより、紙で手渡されるほうが何度も読むだろうし、保存もしてもらえる。
紙の雑誌が減少していることばかりがニュースになるが、それでも日本全国に紙の出版物を販売するチャネルとして、およそ1万店の書店が存在している。世界的に見てもそうとうな数だ。各書店は、新たな展開を目指している。雑誌を売っていただけるこの販売チャネルを今後も活用していくことが、非常に重要だと思っている。
一方で、紙とデジタルが一体の地続きのものである場面も多々ある。講談社でいえば、『週刊現代』の記事が、(Web媒体の)「現代ビジネス」に掲載されることで、若い読者に結構読まれる。紙メディアとデジタルメディアで読者層が明らかに異なっていても、紙の雑誌の記事を読んでもらうために動画を先行させるなど、スピードを重視してデジタルメディアで報道したものを紙でじっくり読ませる、逆に、紙メディアで短く載せた記事の全文をデジタルで読んでもらう。媒体の使い分けは多くの雑誌が手がけ、成功している例も増えていると感じている。
――デジタルメディアへの移行、あるいは紙・デジタルメディアの一体運営において、PV(ページビュー)単価の変動など、プラットフォーム依存のリスクも顕在化しています。持続的なマネタイズモデルの構築は道半ば、といったところでしょうか。
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