前編では、米ネットフリックスなど動画配信大手との向き合い方やユニバーサルアクセス権の考え方、TVerとリアルタイムのテレビ放送との関係から、コンテンツをIP(知的財産)として国内外に展開する事業のポテンシャルまでを聞いた。
――今年は冬季五輪やサッカーのワールドカップで地上波の力が発揮された反面、野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)はネットフリックスが放映権を独占し、地上波では視聴できない事態が起こりました。
WBCは第5回大会までは主にテレビ朝日とTBSが放送していたが、日本が優勝した2023年の第5回大会は大谷翔平選手が参加したこともあって視聴率は毎試合40%を超え、トータルで9500万人が視聴した。そのような爆発的な人気があったため、今年の第6回大会ではネットフリックスが日本の新規ユーザーを獲得すべく、高額で独占放映権を獲得した。その影響で、WBCを見られなかった人もいた。
一方、世界ではイギリスのように、国民的なスポーツの大会については誰でも見られるように地上波での無料放送を義務づける「ユニバーサルアクセス権」を導入している国がある。日本でもそのようなやり方を検討すべきではないかという議論が湧き起こり、民放連でも文部科学省やスポーツ関係の団体と情報交換を行った。
――それでは、ユニバーサルアクセス権の是非については、どう考えていますか。
日本では世界的な規模かつ特別なイベントとして、五輪についてはNHKと民放連で「ジャパンコンソーシアム」を組み、放映権を共同で取得している。ただし世界規模の大会でも、陸上競技やバスケットボール、バレーボール、卓球などは、各局がそれぞれの編成や経営判断の中で放送している。
(人気があるスポーツ大会の)放映権料が高騰しているのは事実だが、ユニバーサルアクセス権は(ネットフリックスのような)動画配信を制限する考え方にもなる。そのため、コンセンサスを得るには相当な力が必要だ。これをイギリスでは政府がやったが、私は政府がやるようなものではない気がしている。
動画配信事業者とは共存できる
――動画配信事業者ではネットフリックスや米アマゾンプライム・ビデオ、米ディズニープラスなどの海外勢が、豊富な資金力を武器に日本市場でも攻勢を強めています。民放にとっては手ごわいライバルですか。
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