フランスでは2027年4~5月に大統領選挙が行われる。現職のマクロン大統領の3期目はない。
選挙日から半年前となる現在、左派政党「不服従のフランス」の国民議会議員であるジャン・リュック・メランション(75)、マクロンを引き継ぐ元首相で、現在はフランス北西部ル・アブール市長のエドゥアール・シャルル・フィリップ(55)、右派政党・国民連合の党首のマリーヌ・ル・ペン(58)を中心に回っている。ヨーロッパで右派の勢いが強まる中で、左派でも極左といわれるメランションは注目である。
フランスの国家債務は日本に比べれば大きなものではないが、EUによる債務規制の枠の中では最悪である。累積赤字はおよそそのGDPを少し超える。
極左政党から出始めたフランス版「徳政令」
メランションは、この国家債務の増大に対し徳政令のような、中央銀行による債務返済不履行という政策をとろうとしている(実際には一部凍結、一部破棄、公債利率ゼロ、富裕層への増税などだが)。
これは、13年に出版した『21世紀の資本』で有名になった経済学者であるトマ・ピケティ(55)などのアイデアであるとされるが、本当にこれが実現するかどうか。資本主義体制をつくっている私有財産システムを一時放棄するという問題を含むがゆえに、大きな議論を呼びそうだ。
確かに中央銀行が政府に対して公債の償還を免除すれば、政府の財政負担はなくなる。しかし、これはある意味、社会主義革命だ。1917年のロシア革命は、当時矢継ぎ早に、国家債務や対外債務の不履行(デフォルト)を宣言し、さらには銀行、企業の国有化を進めていった。
もっともミッテラン政権(81~95年)下のフランスでも、85年に主要企業の国有化を進めたことがあるので、一概に社会主義革命とはいえない。しかし、自由主義経済下の現在それを実行することは抵抗も多い。保守派は反対している。
アメリカも2007~08年のリーマンショックの際、一時、国有化を行った。しかし債務不履行は、国有化のように国家が一時的に株式を取得することではない。資本主義の原則である、私有財産権を停止することだ。
国債は中央銀行だけが購入しているのではない。銀行、企業、法人、一般人まで幅広く購入してその利子収入で生活している。それが一方的に切られれば、諸個人の私有財産は崩壊する。システムとしての資本主義経済が停止することになる。
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