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瀬戸内海に、歩いて回れるほどの小さな島がある。岡山県備前市の鴻島(こうじま)。人口52人のその島には、別荘が約350軒建っている。
バブル期には1億円を超える物件もあったという。それがいまや、200万円台で売りに出ている。
ただし、この島に商店はない。飲食店もない。実際に歩いてみると、自動販売機も郵便ポストも見当たらなかった。渡る手段は、1日数便の定期船だけだ。
その「何もない島」の別荘に、いま買い手がついている。しかも、日本人だけではなかった。
――と、いま書いている筆者も、少し前までこの島の名前すら知らなかった。
「岡山県の島で200万円の別荘」を見つけた日
「いつか、海の見える場所で暮らしてみたいなー」
海を見るだけで、心が踊る。山奥生まれ、山奥育ちである筆者は、海への憧れが強い。家族でキャンプへ行くとなれば、海の見える場所を選ぶ。そこに暮らすなんて、現実的に考えれば、そんなの夢のまた夢。だけど、夢見たっていいじゃない。妄想だけなら、タダなんだから。
筆者は現在、岡山県に暮らしている。周囲を山に囲まれ、海へ行くには車で1時間半かかる場所だ。
とある日、ネットサーフィンをしていると、「岡山県の瀬戸内海の島で売買される約200万円の別荘」との記事を見た。別荘が200万円!? 安くないか!? 島の名前は「鴻島(こうじま)」。
「え? どこ?」
私は岡山県に長年暮らしているのだが、初めて聞く島の名前。瀬戸内海の島といえば、香川県だが、瀬戸内国際芸術祭が開催される「直島」や、国立のハンセン病療養所・愛生園のある「長島」が有名だ。同じく岡山県に長く暮らす夫や母親にも鴻島を知っているかと聞いてみたが、「知らん」と言われた。


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