国によってちがう条件:英雄か暴力男か
フランスの元サッカー選手ジネディーヌ・ジダンの有名な「頭突き事件」を1つの例に挙げてみよう。
2006年のFIFAワールドカップ決勝戦、フランスとイタリアの試合中にサッカー史に残る奇異なシーンがくり広げられた。
延長戦後半、自分のチームのゴールに向かって歩いていたキャプテンのジダンが、突然方向を180度変えて後ろから来ていたイタリアのセンターバック、マルコ・マテラッツィに頭突きをして倒した。ジダンは退場になり、フランスは結局負けた。
なぜ、ジダンはあの重大な瞬間にいきなり格闘技の選手に変身したのだろう?
のちに明らかになった内容によれば、マテラッツィがアルジェリア出身のジダンと彼の姉に対する侮辱的な発言をし、ジダンが憤慨したという。この心理戦に巻き込まれてジダンが爆発したようだ。
フランス国旗を胸につけた国家代表チームのキャプテンが、一瞬にして姉をかばう弟に急変した。
ジダンのせいで試合に負けたとは言い切れないが、延長戦での彼の退場は、フランスチームに決定的な損失をもたらした。それもワールドカップ決勝戦で。
みなさんがフランス人だったら、ジダンという人物にどんな評価を下すだろうか? 正義の男、あるいは個人的な感情に振り回された情けないやつ?
ここに文化の違いが見られる。



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