日本銀行による利上げが進む中、メガバンク3行はいずれも最高益を更新。3行の純利益の合計は5兆円を超えるなど、まさにわが世の春を謳歌している。
しかし、そうした状況とは裏腹に、銀行各社からは意外な声が上がっている。
異例の「貸出減らす」宣言
「貸出については今後『選別的』にやらざるを得ない。海外においては、貸出を若干減らす計画だ」
三井住友フィナンシャルグループ(FG)の中島達社長は、今年5月の決算説明会でこのように述べた。
背景にあるのは預金の伸び鈍化だ。「預金の伸びがスローダウンしてきており、預貸(預金と貸出金)のバランスに非常に気を使わなければならない時期に来ている」と中島社長は語る。
預金調達の難易度が増す中で、各行が意識し始めているのが「安定調達比率(NSFR)」と呼ばれる指標だ。
これは、銀行が保有する売却が難しい長期資産に対して、中長期にわたる安定的な資金調達ができているかを示す健全性の指標だ。
銀行の健全性や安全性を保つための国際的な統一基準であるバーゼル規制では、自己資本や預金といった「利用可能な安定調達額」を分子に、貸出金や流動性の低い資産を保有するうえで必要な「所要安定調達額」を分母として、100%以上を維持することが求められている。
仮に100%を下回れば当局への報告が求められ、必要に応じて業務改善命令が発出される。
この記事は有料会員限定です
残り 1185文字

