名古屋市のターミナル駅前にあるハワイ風カフェに来ている。土曜の昼過ぎだからなのか店の内外は人でごったがえし、席を予約していなかったら入店待ちの列に並ぶところだった。筆者を含む大勢の客をスタッフが淡々とさばいている。
約束の時間通りに来てくれた広岡麻衣さん(仮名、40歳)はボブカットにお洒落なメガネ、花柄のワンピース姿。最初から笑顔で、言葉を交わすと的確なタイミングでよく笑い、人の気をそらさない。このカフェのスタッフよりもはるかに接客慣れをしている。以前はウェディングプランナーだったという経歴に納得した。
傍らにいる真太郎さん(仮名、41歳)は同じくメガネをかけていて、引き締まった細身で短髪。体にぴったりのロンTが似合っている。少し緊張気味だが控えめな笑顔は絶やさない。この雰囲気でトラック運転手という職業を言い当てるのは難しかった。
東海地方の山間部出身の麻衣さんは、大学進学とともに名古屋で一人暮らしを始め、アルバイト先のブライダル会社にそのまま入社。ウェディングプランナーを経て、現在は本社で管理職を務めている。39歳で結婚するまでに膨大な数の結婚カップルを目の当たりにしてきたはずだ。もっと若いうちに「自分も結婚して祝福されたい」とは思わなかったのか、という月並みな質問をまずぶつけてみた。
「たくさんの人が集まって2人を祝福するのが結婚式です。この幸せな一日に興味があってこの仕事に就きました。でも、仕事は仕事です。うらやましいという気持ちにはなりません。私自身は結婚したいもしたくもなく、『いい人がいればどのタイミングでも』ぐらいの気持ちでした」
「遊んでいそうな男性」ばかり追いかけた20代
しかし、20代の頃の麻衣さんにとっての「いい人」は、「女性慣れしていて遊んでいそうな男性」だった。追いかけるような恋愛で、付き合えたとしても不安で苦しい思いをすることが多かったという。
30歳になった頃に現場を離れ、営業支援の部署に配属される。麻衣さんはさらに仕事に没頭するようになり、恋人がいない期間も長かった。

