
長期休暇後に課題の提出忘れと進路指導で不安を煽る…
18年9月、鹿児島市の中学3年生だった男子生徒サトシ(仮名、当時15歳)が夏休み明けの始業式当日、自宅で自殺した。
母親は、担任の女性教諭Xが、丁寧な聞き取りをせず、怒鳴り声をあげ、進路に関する不安をあおるなどしたことが自殺に結びついたなどとして、市を相手に、約6580万円の賠償を求め、今年5月に結審を迎えた。判決は8月26日に言い渡される予定だ。
この裁判の論点の1つは、X教諭による夏休み明け初日のサトシへの指導だ。14年度版「自殺対策白書」(内閣府作成)で、過去40年間の日別自殺者数を見ると、18歳以下の場合、夏休み明けの9月1日が最多。そのほか、春休みやゴールデンウィークなど、長期休暇明けの直後に自殺者が増える傾向だった。
サトシが亡くなった18年9月3日は長期休暇明けの初日だ。文科省は16年7月と18年6月に、長期休暇明けに、児童生徒の自殺者が増える傾向があること、長期休暇明けの児童生徒の自殺予防について取り組む通知を出していた。
また、サトシはX教諭に対する嫌悪感があった。サトシが2年生のとき、所属するバスケットボール部で指導対象になる出来事があった。なぜか部外者のX教諭が、部員に対する指導を行った。
サトシを含め、指導内容となった出来事と関係のない生徒も対象だった。学校では、教室内でバスケ部の保護者会を開いていたが、廊下でX教諭が部員たちを指導した。このX教諭の声をたまたま保護者が録音して音声データが証拠として提出された。
こうした前提があったうえで、自殺当日、サトシのクラスでは6人が夏休みの課題を出していなかった。その6人は教室内で課題提出に関する指導を受けた。そして、サトシと別の男子生徒の2人だけが、職員室に呼び出された。最初に別の生徒が呼ばれ、次にサトシが呼ばれ、大声で叱責をされた。動揺している中で、続けて進路指導に移行した。
その進路指導の中で、「その調子だったら内申書を書かないぞ」「やる気がないんだったら味方しないぞ」「どんなふうに育てられたの?」「社会じゃ通用しないよ、社会でやっていけないよ」「提出がそんなに悪いとマイナスのことしか書かないぞ」「内申書マイナスばっかりになるぞ」「高校に行けないぞ」などと言った。サトシは涙を流した。
また、その日に締め切りだった課題提出をサトシは忘れた。その前に締め切りになっている課題はすべて提出している。なぜ、この日締め切りの課題を忘れたのか。課題をしていないのか、していたが持ってくるのを忘れたのか。X教諭は十分な聞き取りをしなかった。

