今年の宇宙関連株の急騰劇の中でも、株価がとりわけ大きく上昇した無名企業がある。南米ウルグアイの首都モンテビデオ郊外で衛星を製造する会社だ。
ムニューシン元米財務長官が取締役会長を務め、大株主でもあるサテロジックの株価は、5日の株式相場急落時に同業他社とともに下落した後でも、年初来で200%超の上昇だ。これは、今週後半にも見込まれるイーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXの上場を巡る熱狂の最大の受益者であることを示している。
ただ、強気派でさえ、サテロジックには多くのリスクが伴うことを認めている。同社はまだ通期ベースで黒字化しておらず、先月発生したブルーオリジンのロケット爆発事故は、なお発展途上にある宇宙産業に内在する危険性と課題を浮き彫りにした。さらに、宇宙関連株への熱狂によって、将来の成長期待のかなりの部分が既に株価に織り込まれている可能性もある。
フィラデルフィアのクレイグハラム・キャピタルのアナリスト、ジェフ・バン・リー氏は、「過度な事業拡大や、政府案件が実現しないリスクがある。われわれは実現すると考えているが、実現しなければリスクになる」と指摘。同氏はサテロジック株の投資判断を「買い」としている。
創業16年目の衛星製造・運営会社を共同創業し、最高経営責任者(CEO)を務めるエミリアーノ・カルギエマン氏は、こうした点を理解しつつも、株価上昇の勢いはスペースX上場への期待だけでは説明できないとみている。アルゼンチン出身の同氏は、不安定な国際情勢や政府向け販売戦略の明確化、自社の財務改善を理由に挙げる。
カルギエマン氏(51)は「需要はわれわれの対応能力を上回るペースで拡大している」と説明。「われわれは顧客が関心を持つ地域で起きているあらゆる出来事を毎日確認し監視できるインフラを構築している。これは当社にとって大きな飛躍だが、世界にとっても大きな飛躍だと思う」と語った。

サテロジックはモンテビデオで製造しスペースXのロケットで打ち上げている。カルギエマン氏によると、各国政府からの関心の高まりは、同社には競合システムより低コストで高解像度画像を継続的に提供できる能力があるからだという。クレイグハラムのバン・リー氏の推計によると、同社の製造コストは同等サービスを提供する競合の約3分の1だという。
カルギエマン氏は「現在のイラン情勢のような地政学的な不安定局面では需要が加速する」と述べ、「近隣国上空に航空機を飛ばせないなら、何が起きているかを把握する唯一の方法は宇宙資産を利用することだ」と語った。
ブルームバーグ集計データによると、サテロジック株は時価総額1億ドル以上(約160億円)の世界の無線通信関連企業約170社の中で、今年最も大きく上昇した。米国市場では全業種3000社超の中で値上がり率16位となっている。
業界関係者によると、新型かつ低コストの商用システムの登場により、各国政府は戦略上重要な限られた地点だけでなく、サテロジックのように30分ごとに数百カ所を追跡できる数十基の衛星を利用しやすくなっているという。
著者:Patrick Gillespie、David Feliba
