2026年度、自衛隊の歴史が変わる。陸海空の3領域を冠してきた名称に、新たに「宇宙」が加わる。
今年3月6日、政府は航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」と改編する法案を閣議決定した。26年度中に改編される見通しで、名称変更は1954年の自衛隊創設以来、初となる。4月7日の記者会見で、森田雄博・航空幕僚長はこう語った。
「宇宙領域における作戦は、陸上、海上、航空作戦と同等の重要性を有している。いかなる状況においても宇宙空間の安定的利用を確保する」
宇宙を単なる空間ではなく、「作戦領域」と位置づける発言だ。
急増中の「宇宙」隊員、20→670→880人
22年末に策定された防衛政策の基本方針「安保3文書」(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)にも「27年度までに、宇宙を利用して部隊行動に必要不可欠な基盤を整備する」と明記されている。
その文言どおり、宇宙関連の隊員は急増している。20年度の「宇宙作戦隊」新編時は約20人だったが、その後、宇宙作戦群を経て、25年度には約670人規模の宇宙作戦団を新編した。さらに26年度中には約880人となる見通しだ。宇宙関連の防衛予算(当初予算・契約額ベース)も、22~26年度の5年間で約1兆1500億円に上り、直前の5年間の約1.4倍に膨らんでいる。
なぜ、ここまで宇宙に注力するのか。
その背景には、現代の軍事・安全保障において、通信、観測、測位といった宇宙システムに由来するサービスが不可欠になっている現実がある。実際、ロシア軍の攻撃で通信インフラが損傷したウクライナでは、米スペースXの「スターリンク」など民間の衛星通信や衛星画像が軍事作戦を支えていると指摘されている。
各国の宇宙利用をめぐる競争は激化の一途だ。防衛白書(2025年版)によれば、中国が運用する軍用衛星などはこの10年余りで約6倍に増加。目標の監視・追尾や通信を担う衛星コンステレーションの構築を急ぎ、中国の軍事能力を大きく向上させている。
衛星コンステレーションとは、多数の小型人工衛星を連携させて運用し、地球全体をカバーする通信・観測システムである。
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【反撃能力の「目」を担う衛星コンステ】
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