宇宙から地球を見つめ、さまざまな情報を収集する観測衛星。その中で、“新たな目”として注目を集めているのがSAR(合成開口レーダー)衛星だ。
SAR衛星は、低軌道上で雲も透過するマイクロ波(電波)を地表に向けて照射し、反射波のデータを解析することで地形や構造物の位置・形状、さらには微細な変化まで把握する。高精度な光学センサーで地表を撮影する光学衛星では難しかった、悪天候時や夜間の観測が可能な点に特徴がある。
ただ、SAR衛星には技術的に様々なハードルがある。分解能を高めるには高性能なアンテナが必要になる。消費電力もかさみがちだ。必然的に大型かつ高コストになりやすい。しかし、ビジネスとして成立させるには一定の小型化が求められる。
小型SAR衛星は世界で5社のみ
この相反する要件から参入障壁は高い。小型SAR衛星の商用化に成功しているのは、事業規模で世界最大級であるフィンランドのICEYE(アイサイ)、高品質な撮像技術を持つアメリカのCapella Space(カペラ・スペース)やUmbra(アンブラ)、そして日本の九州大学発のベンチャーであるQPS研究所と、独自の衛星データ解析プラットフォームを開発するSynspective(シンスペクティブ)の5社のみだ。
競合する海外勢は手ごわいが、それでも日本の2社は将来の勝ち筋を描けるポジションにいる。
SAR衛星の撮像では、重要となるベースの要素が3つある。同じ地点をどれだけ短い間隔で撮像できるかの頻度、顧客からの撮像要求にどれだけ迅速に応えられるかの即応性、対象をどれだけ細かく把握できるかの解像度だ。
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【日本勢2社のビジネスモデルとは】
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