INDEX
※この記事は、萩原雅裕氏の新刊『たたき台の教科書』をベースに書き下ろしたオリジナル記事です。
優秀な若手ほど「たたき台」を持ってくる
近年のビジネスシーンにおいて、「たたき台を作る人が一番えらい」という主張を目にする機会が増えました。できあがったものに対してアレコレ指摘をするのは簡単ですが、何もないゼロの状態からイチを生み出すのは最も大変で尊い作業だからです。
優秀な若手社員ほど、この「たたき台」の価値をよく理解しています。彼らは、最初から完璧な完成品を作り上げようとして時間を浪費することの危険性を知っているからです。
完成度が60〜70点、それどころか30点であっても、まずは「たたき台」としてタスクを早く提示し、チームや上司からのフィードバックを得る。そうすることで、手戻りを防ぎながら最短距離で正解にたどり着こうとします。
何もない状態で口頭だけで議論をすると、「Aさん対Bさん」といった人間関係の対立構造に陥りやすく、いわゆる「空中戦」になってしまいます。
しかし、不完全でも目に見えるたたき台がテーブルに置かれることで、構図は「参加者対たたき台」へと変わります。優秀な部下は、この建設的な議論の場を創り出すために、あえて「叩かれるためのたたき台」を持ってくるのです。
ここで問題となるのが「上司の受け止め方」です。部下が勇気を出して未完成のたたき台を持ってきたとき、上司がその意図や勘所を理解せずに間違ったフィードバックをしてしまうと、部下のモチベーションは急降下します。
それが繰り返されれば、「この上司のもとではまともに仕事が進まない」と見切りをつけ、最悪の場合は優秀な人材の流出(転職)を招きかねません。

