では、なぜこのようなズレが生まれるのか。
その理由はシンプルです。
上司が部下に仕事を任せる段階で「期待する成果」と「現状」を明確に伝えていないからです。
現状 × 打ち手 = 期待する成果
仕事とは、「現状」に対して、なんらかの「打ち手」を講じることで、「期待する成果」を目指す営みです。
このとき、「現状」と「期待する成果」は、本来、上司が最初に固定すべき 「定数」 です。スタートとゴールという2つの定数が定まってはじめて、部下は「ではどんな打ち手を取るべきか」という 「変数」 を解くことができます。部下が持ってくるたたき台とは、まさにこの「打ち手」——方程式の変数の答え——にほかなりません。
問われるのは「ズレが起きた後の一手」
ところが田中さんのケースでは、課長は「期待する成果(=新規開拓)」という定数を伝えていませんでした。「現状」の共有も曖昧だった。定数が定まらないまま変数を解かされた田中さんは、自分なりに「既存深耕」という定数を仮置きして方程式を解いた。つまり田中さんのたたき台は、「浅い」 のではなく、「別の方程式の正解」 だったのです。
管理職がまずやるべきは、難しいことではありません。
②「現状」を共有すること
この2つの定数を先に固定する。それだけで、部下のたたき台の精度は劇的に上がります。
とはいえ、現実には、依頼の段階で定数を完璧に伝えきるのは難しいものです。言葉足らずになることもあれば、伝えたつもりが伝わっていないこともある。だからこそ、たたき台が出てきた段階で、ズレが顔を出します。
問題は、そのズレに気づいたとき、上司がどうフィードバックするかです。ここで、三流の上司と一流の上司の差がはっきりと出ます。
