不祥事は「小さな違和感」から始まる
最近、コンプライアンスを重視していない企業は、ほとんどないでしょう。
研修を行い、社内規程を整え、内部通報窓口も設ける。企業はさまざまな対策を講じています。
では、それで不祥事は防げるのでしょうか。
私がむしろ怖いと思うのは、制度がないことではありません。現場で誰かが「おかしい」と感じているのに、その声が上がってこないことです。
不祥事は、ある日突然起きるわけではありません。その前には、多くの場合、小さな違和感があります。
2015年に発覚したフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題でも、現場では厳しい排ガス規制をクリアする難しさが認識されていました。しかし、階層的な組織の中で「できません」と言いにくい環境があったとされています。
「この数字はおかしい」
「この処理は本当に大丈夫なのか」
そう感じても、声を上げれば評価が下がるかもしれない。「面倒な人」と思われるかもしれない。そう考えた瞬間、人は声をのみ込みます。
そして、「今回だけ」「このくらいなら」という妥協が積み重なっていく。
これが「沈黙の組織」の怖さです。
本当に警戒すべきなのは、不祥事が発覚した瞬間ではありません。社員が「おかしい」と感じながらも、それを口にしなくなったときなのです。


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