当初の計画では、E5系ベースの車両を開業時に24編成導入し、その後は利用客の増加に合わせて編成数を追加、30年後には71編成に拡大する予定だった。また、メイク・イン・インディア政策に基づき、初期の24編成中6本程度をインド国内でノックダウン生産し、その後は徐々に技術移転を進める計画だった。
2018年11月に開催されたIHRAの高速鉄道セミナーでは、インド鉄道省・鉄道委員会の車両担当委員が、「日本の技術は割高と言われているが、インドで製造すれば中国よりも安くできる。また、インド製は中国製よりも信頼できると考えている国が、中東やアジアに多い」と、将来の高速鉄道車両の輸出を見据えた発言を行っていた。
さらに、NHSRCLの幹部も「(他区間を)フランスやドイツがやることになったとしても、車両はE5系の技術を使って開発したい」と言い切るほど、E5系を絶賛していた。
交渉難航、インドは「国産車」発注
にもかかわらず、E5系の導入交渉は難航した。日本とインドの間で何が対立点になっているのかは不明だが、多くの識者が日本の提示価格がインドの想定を超えているのではないかと指摘している。国産化の障害となる技術移転上の問題もあるのかもしれない。
そこで、インド側は強硬策に打って出た。まず、2024年10月、NHSRCLが国内メーカーに最高時速280kmの高速車両を発注したことが報じられた。E5系よりも最高速度は劣るので本命車両とは言えないものの、2027年の部分開業時にはこの車両が走行する可能性が浮上した。
さらに、2025年1月、NHSRCLは全線を対象に信号・列車制御システム、電気通信システム、運行管理センターシステムの設計、製造、試験、メンテナンスなどに関する入札を発表した。入札参加要件には「UNISIGのメンバーであること」と記載されていた。UNISIGとは、欧州の信号仕様を策定・管理する専門委員会である。つまり、UNISIGのメンバーに発注するということは、「ETCS=欧州方式」の導入にほかならない。そして新幹線車両はETCSでは走行できない。
