採用企業側には、大学2年生の段階から学生と接点を持ち、あの手この手で猛烈アプローチをしていきたいという狙いがある。コンサルティングファームでは、サマーインターンが終わった大学3年生の9月以降が内定出しのピークといわれているが、それよりも数カ月早い時期に内定が出ているケースも珍しくない。
動き出した日系大手企業、ジョブローテーションに潜む構造的課題
就活早期化を背景に「優秀層の採用難易度があがった」と嘆いていた日系大手企業もいよいよ動き始めている。今年の外資就活Expoに初出展した企業のうち、日系大手企業は10社で全体の50社の1/5を占めた。
優秀層の学生に人気がある業界は、総合商社、コンサル、金融の3業界だ。総合商社は待遇面もよく、学生から不動の人気がある。一方で、金融系の日系大手企業は、コンサルへの人材流出の影響を大きく受けており、採用ブランディングやメッセージングを大きく変えている。採用活動を早めたり、採用人数を引き上げたり、待遇改善など“対コンサル”の姿勢が見てとれる。
見方を変えると、総合商社以外でコンサルに近しい待遇を提示できる日系大手企業は、業績好調な金融大手くらいしかないのが実情だ。しかし、待遇改善や採用早期化に踏み切ったとしても、それを実行する採用体制そのものに構造的な課題が潜んでいる。採用企業側の課題として見落とされがちなのが、採用工数の増加だ。
例えば、今回のイベントに出展した企業は以下の3つを同時進行することになり、「人手が足りない」という悩みを人事担当者から聞くことも多い。
・28卒:合同企業説明会など採用広報開始
・27卒:選考、内定出し、内定承諾後フォロー
・26卒:入社までのフォローアップ、受け入れ準備
採用リソースについては各社の構造的な問題もあり、とくに日系大手企業で足りていない印象だ。というのも、コンサルティングファームでは人事職を専門としているプロフェッショナルな社員が採用活動を担っている。しかし、日系大手企業はまだまだ総合職採用が多く、3年単位のジョブローテーションのなかで、人事に配属された社員が採用を担当しているケースが大半だ。そうなってくると、人事を専門のキャリアに据えるという考えにはなりづらく、「とりあえず3年人事をやる」という思考や視座に落ち着いてしまいがちだ。
また、コスト部門として人員を増やそうという意思決定がされにくい状況もある。だからこそこうした日系大手企業は、採用体制の重要性に気がついて現状を変えない限り、「本来会えるはずだった優秀層に会えないまま終わる採用活動」が深刻化していく一方だ。採用体制を変革し、実行まで行える経営陣の強いリーダーシップが今求められる。採用部門を“コストセンター”と捉える発想そのものを問い直さない限り、変化は始まらない。
就活の超早期化は、学生のキャリア観そのものを書き換えた。終身雇用を前提とせず、20代で市場価値を最大化することを合理的とする世代に対して、就活ルールに沿った選考フローで対応しようとする企業は、競争の土俵にすら立てていない。
採用はもはや、企業の命運を分けるフロントラインの競争である。本来出会えるはずだった優秀層を取りこぼし続けるのか、それとも体制そのものを組み替えるのか。日系大手企業は今、岐路に立たされている。
