5月は心のエネルギーが旺盛になり始める時期ですが、同時に急な気温上昇、湿気の増加(梅雨前の重だるさ)、環境変化(春からの新生活の疲れが出る)といった要因が重なり、不調が起こりやすくなります。
心と腎は互いに調整しあって機能していますから、心に負担がかかりすぎると腎のエネルギーを余計に消費することとなり、その結果として、回復力が低下し、疲れが抜けない、寝ても回復しない、ストレス耐性が低いといった不調が起こりやすくなります。
反対に、腎というエネルギーを少しずつ上手に消費させていけば心は安定し、自然と精神は健やかに保たれるとされているのです。
腎・心の不調のSOSサイン
心に腎が必要である理由がもう1つあります。それは「腎は心の土台」になっているという点です。漢方では、メンタルは主に心がつかさどるという話は先ほどしましたが、実はその土台を支えているのが腎なのです。
腎は意志力や忍耐力、恐れといった人間の深層心理に関わっているとされています。そのため、腎の機能が向上していると気持ちが落ち着き、粘り強さが出てきます。反対に腎の機能が弱る「腎虚(じんきょ)」の状態では、不安や恐怖、無気力、慢性的疲労が起こりやすいのです。
では、腎や心の調子が悪くなったサインを知るためには、どうしたらいいでしょうか。
漢方には、「心腎不交(しんじんふこう)」という言葉があります。これは“心と腎のバランスが崩れ、互いに連携できなくなった状態”を指します。同じような言葉に、「心火過旺(しんかかおう)」があります。これは心腎不交によって腎の働きが不足し、心の働きが過剰になった状態を示しています。
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【腎と心の機能低下がもたらす「不調」】
