「坊主丸儲け」は遠い過去の話。経済基盤の弱い寺から順番に淘汰が進む深刻な未来。実は仏教に清貧の思想はない? 手放すのはお金でなく執着。

「YouTube和尚」として知られている大愚和尚。住職を務める佛心宗大叢山福厳寺にて(撮影:大倉英揮)
YouTubeのお悩み相談番組『大愚和尚の一問一答』は登録者数70万人を超える。そこに寄せられる悩みのトップはずばり「お金」。和尚の著書『お金と宗教の歴史』は歴史・宗教史の本でありながら、「お金」の悩みを手放すヒントが書かれている。今回はお金に対する仏教のユニークなスタンスを語る。
お坊さんにも、お金の悩みはある
私たちの悩みには、大きく分けて2つの方向性があります。「何をしていいかわからない」と「どうしていいかわからない」です。
この2つがわからないと、ぐるぐると迷ってしまうのです。お金の悩みも同じです。これは結局、「何をして、どう生きていったらいいのかわからない」ということです。
なぜなら現代においては、生きることとお金とが固く結びついているからです。みなさんも「お金さえあればなんとかなる」と、きっと思われているはずです。
仏教を修めたお坊さんが、お金の悩みから解放されているかといえば、そんなことはありません。お金の悩みだらけです。例えば、浄土真宗はお寺の平均収入を出していますが、それを見るとお寺そのものの収益というのは平均300万円ほどと言われています。
観光客が押し寄せたり、立地がよくて土地を貸していたり、檀家さんが非常に多いなどというお寺以外は、本当に大変な状況です。
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