名大医学部、慶応医学部、東大理3に"すべて合格"も、「理3を退学」彼が選んだ《その後の道》

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名古屋大学医学部に合格した大竹さんは大学に進学こそするものの、理3に合格したかったためにすぐに仮面浪人を決めます。大学に籍だけを置き、同じように籍を置いていた駿台で前年と同じような生活を続けました。

模試の判定は前年・前々年と変わらず、第1回試行であったセンター試験の結果もまたしても小説の1問ミス止まり。

それでも理3には届かず、併願していた慶応の医学部に合格し、入学しました。

慶応に入学も「ここは自分がいる場所じゃない」

2浪で入った慶応義塾大学の医学部には半年間は通いましたが、「自分がいる場所ではない」と感じていたことで、もう一度だけ理3を受けてみようと思ったそうです。

「あまりにも慶応の同級生と世界観が違ったんです。普通の家庭が買えない車に乗っていますし、行動の1つ1つを見ていて庶民じゃないなと感じました。それでいて、彼らは『マウントを取る』ようなこともせず、何の見返りも求めずにご飯を奢ってくれたりしました。彼らはきっと自分が恵まれていることがわかっているんでしょう。あまりにも人柄がよすぎたんです。それでもう一度だけやってみて、ダメなら慶応に戻ろうと思い、ラストチャレンジのつもりで理3を受験しました」

3浪目の受験生活も2浪目までと同じような生活を続け、成績も判定も安定していました。そしてこの年のセンター試験の結果も、小説の1問ミスのみだった大竹さん。前年・前々年と非常に高い点数を取り続けたにも関わらず、理3に落ち続けた彼は、今まで落ちた理由を「運」と振り返ります。

「1浪目以降、理3に合格できるかは運次第でした。そのときに出た問題ができるかできないかにかかっていましたね。たとえば私は数学の確率の問題が苦手で、これがセンター試験のレベルでも解けませんでした。センター試験では(確率か、違う分野で選べる)選択問題だったため回避することもできたのですが、東大で出たら1問ミスが確定でした」

こうして臨んだ3回目の理3受験でしたが、残念ながらこの年も数学で確率が出題されました。しかし、幸いそれ以外の問題はすべて解くことができ、6問中5問を完答することができました。

こうして、ついに大竹さんは、目標であった東京大学理科3類に合格することができました。

3浪の末、悲願であった東大理3に合格した大竹さん。

浪人してよかったことを聞くと「多浪を経験したということで興味を持ってくれる人がいること」「浪人生へのアドバイスができること」と答えてくれました。

濱井正吾 浪人 東大理3
現在の大竹さんの写真(写真:大竹さん提供)

「私は現役で大学に行ったわけではないので、同じことを繰り返す人生を数年間送ったわけです。でも、その後の人生で、『愉快な人生を歩んでいる人だ』と思ってくれる人と会えて、それでご縁が広がったりしているのはありがたいことだと思います。浪人している人の気持ちにも配慮できるようになれたのもよかったですね。今、浪人している方に伝えたいのは、『絶対に早寝早起きをすること』ですね」

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