日本人大好き「焼肉店」倒産続いている最大の理由 3年前の寿司屋倒産ドミノを彷彿とさせる現象

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とはいえ、今回倒産が続いている最大の理由はやはり、大手飲食企業による焼肉業界への参入があると思います。資金力、体力、組織力がある大手企業は、価格はギリギリ安く設定しつつ、食べ放題やデザートの強化、子ども向けサービスなど、専門店ではできないプラスαで集客し、利益を上げて、あっという間に地域の人気店になってしまいます。

つまり焼肉店が、居酒屋化、ファミレス化する中、大手による焼肉店の出店が増加。競合店が各地に出現し、町場の焼肉店は、価格競争もメニューの多様性でも対応できず、廃業に追い込まれるというのが多いのです。

焼肉店の倒産件数の推移

従来焼肉店は、新規参入するのが難しい業種でした。ロースターや換気設備などを整えないといけないので、初期投資が大きく、一般の飲食店の1.3〜1.5倍の費用がかかる。牛肉は、部位が多く、扱いも実は難しいので、職人の技が必要で温度管理が厳しい。市場に行って仕入れればよいというものではなく、肉を仕入れるルートを確保するのが難しいとも言われた業界でした。

しかし、大手企業は、資金力も組織力もあり、ルート開発の人材もいるので、焼肉業界への参入も難しくなく、コロナ禍をきっかけに店舗を広げていったのです。居酒屋やファミレスより客単価が高く、子どもから大人、ファミリー層などあらゆる客層が狙えるのに、今まで大手企業の参入がなかった、まさに空白のマーケットを狙った進出だったのです。

3年前は寿司店の倒産が多かった

実は3年前は、寿司店の倒産増!というニュースが話題となったのを覚えているでしょうか?

「2020年1〜9月のすし店の倒産は23件(前年同期比53.3%増、前年同期15件)で、前年同期比約1.5倍増と急増。このペースで推移すると、4年ぶりに年間30件台の可能性が高まっている」という東京商工リサーチの調査結果がありました。これも、町の個人経営の寿司店の倒産が多かったと思います。つまり、3年前に寿司業界に起こった同じことが、焼肉業界にも今起こっているというわけ。

そもそも日本は、寿司、鰻、そば、うどんなどなど、専門店が多く、それが日本の食の魅力になっています。しかし、居酒屋やファミレスなど大手の飲食チェーンが専門店のメニューを取り入れるようになったほか、洋食嗜好の高まりなど食の多様化が進み、今や専門店は味、提供スタイル、ほかにはないメニューなど、個性やこだわりがないとやっていけない業態になってきています。

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