文部科学大臣の諮問機関、中央教育審議会(中教審)の初等中等教育分科会教員養成部会は2023年8月10日、会合を開き、教員免許の取得を目指す学生が修得する必要のある「教科に関する専門的事項に関する科目」(教科専門科目)を見直す免許法施行規則改正の省令案を了承した。

改正は、教科専門科目が多い教科では定められた単位数以上を履修している現状があることから、科目区分の統合や削除に加え、名称変更をするもの。今後、パブリックコメント(意見公募)をふまえ、秋にも改正し、24(令和6)年4月1日に施行予定。

中高理科、中学校技術、高校情報、中高家庭の各科で変更

教員免許の取得にあたり、免許法施行規則では各科目で必要な理由単位を1単位以上としている。しかし、特定の教科では履修する単位数が定められた数以上になるケースが常態化していた。部会では2023年5月に検討委員会を設置。ワーキンググループを設け、中学高校理科、中学校技術、高校情報、中学高校家庭の4教科を議論してきた。

中学校理科はこれまでは「物理学実験(コンピュータ活用を含む。)」「化学実験(コンピュータ活用を含む。)」「生物学実験(コンピュータ活用を含む。)」「地学実験(コンピュータ活用を含む。)」という科目区分だったが、これを「物理学実験・化学実験・生物学実験・地学実験」の1科目に統合した。高校理科も同じ区分だったが、コンピュータの普及で但し書きの必要はないとして「物理学実験」のように科目名を変更した。

中学校技術科は「木材加工(製図及び実習を含む。)」と「金属加工(製図及び実習を含む。)」を「材料加工(実習を含む。)」に、機械(実習を含む。)」と「電気(実習を含む)を「機械・電気(実習を含む。)にそれぞれ統合し、科目数を6から4に削減した。「栽培(実習を含む。)」は「生物育成」に、「情報とコンピュータ(実習を含む。)」は「情報とコンピュータ」に名称変更する。

中学校家庭科は「被服学(被服製作実習を含む。)」を「被服学(被服実習を含む。)」に、「保育学(実習を含む)」を「保育学」に変更。高校家庭科は「被服学(被服製作実習を含む。)」を「被服学(被服実習を含む。)」に、「住居学(製図を含む。)」を「住居学」に、「保育学(実習及び家庭看護を含む)」を「保育学」にそれぞれ名称変更するとともに、「家庭電気・家庭機械・情報処理」の科目を削除した。

高校情報科は「情報格差・情報倫理」と「情報と職業」を「情報格差(職業に関する内容を含む。)・情報倫理」に統合。また、「コンピュータ・情報処理(実習を含む。)」「情報システム(実習を含む。)」「情報通信ネットワーク(実習を含む。)」「マルチメディア表現・マルチメディア技術(実習を含む。)」からいずれも「(実習を含む。)」を削除し、名称変更した。

各教科で必要な移行措置が取られる。部会では、今回対象とした教科に限らず学習指導要領との整合性を確認するため、定期的な見直しの機会を設けるよう求めた。

 

調査元:https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2023/1422489_00001.html

(注記のない写真:αR / PIXTA)