夏休み明けのダラダラした空気を変える語り

納得!語りで子どもを動かす学級経営
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最初に紹介するのは、時間を守る大切さを伝える「授業の開始にピタッと席に着く語り」です。指導のポイントは、「教師が終わりを守るから、子どもは始まりを守る」です。

高学年になると「先生はチャイムが鳴っても授業を続けているのになあ」と口に出さずとも心の中で思っているはずです。こちらが授業の終わりを守るからこそ、子どもが守らないときに「先生は、チャイムが鳴ったら終わりにしているのに」と説得力ある指導ができます。

語りのステップは3つです。1では、いきなり指導せずに「今、こうなっているよね」と教師と子どもで現状を客観的に眺めます。2で説得力のある語りをします。3の段階で「これからどうする?」と前向きな行動を子どもに委ねます。子どもから「このように行動したい」と自己決定してもらいます。

ここでは、1. 「現状把握」:授業終わりのチャイムが鳴ったら途中でも授業を終える、2. 「心に響く語り」:授業の終わりを守るのは教師。授業の始まりを守るのは子どもと明確にする、3. 「未来を選択させる」:次の授業の始まりを見ていることを予告する、です。「以下のようなイメージです。

次に「ダラダラした集合を数秒に変える語り」も紹介します。語りのステップは、1. 「現状把握」:集合にどれくらい時間がかかったか予想してもらう、2. 「心に響く語り」:集合が早いとどんなよいことがあるか、3. 「未来を選択させる」:もう一度集合の場面を作り、短くなったことを褒める、です。以下を参考にしてください。

このとき「集合が早いので試合の時間を30秒プラスします」と伝えると喜びます。集合が早いクラスは、1. 授業の準備も早い、2. 帰りの支度も早い、3. 給食の準備も早い、と結び付けることもできます。

ちょっとした「いざこざ」を短時間で解決する語り

指導しないとおしゃべりが多くなる移動教室は、「サイレントコース」でゲーム化します。

「静かに!」。教室移動の途中で、このような指導は避けたいです。事前に「なぜ静かにするか」語り、さらに「教室から一歩出たら、そこはサイレントコースですよ」とネーミングするだけで、子どもはゲーム感覚になります。移動の途中、途中で振り返ります。きっと静かについてきているのでニッコリと頷くと子どもへのフィードバックになります。「ザワザワした教室移動はこれでばっちり」です。

語りのステップは、1. 「現状把握」:移動教室の時に心配なことを聞く、2. 「心に響く語り」:なぜおしゃべりが迷惑になるか考えてもらう、3. 「未来を選択させる」:教室から一歩出たらサイレントコースであることを伝える、です。

夏休み明けは、ちょっとしたいざこざも増えるかもしれません。次は「小さなもめごとを短時間で解決する語り」です。語りのステップは、1. 「現状把握」:子どもの訴えを公平に聞く、2. 「心に響く語り」:どうすればよかったか子どもに語ってもらう、3. 「未来を選択させる」:お互いに悪かったことを謝ってもらう、です。

必ず両方の子どもを呼んで聞き取りをします。小さなもめごとであれば、1年間も続けたいとは思いません。まずはここを確認します。「2人ともなんとか解決する方向にしたいということは同じ意見だよね」と前提を作ります。「先生はどちらが悪いか決めるために話を聞くのではない。どうしたらこのようなことにならなかったか一緒に考えたい」と伝えることで双方に安心してもらいます。

最後に順番に「されて嫌だったこと」、そして「してしまったこと」を話してもらい、お互いに悪かったところだけ謝ります。下記も参考にしてみてください。

終わりに「クラスの雰囲気をよくする 秘密の恩送りゲーム!」を紹介します。誰かがこっそりと自分によいことをしてくれるゲームで、子どもが朝からワクワクするようになります。準備も楽です。

やり方は、名刺程の大きさのカード(厚紙)を渡して名前ペンで自分の名前を書いてもらいます。集めたカードを袋などに入れて、朝の会でクジを引きます。クジは、他の子に見せません。帰りの会までに引いたカードの人に、こっそりとよいことをしてあげることを伝えます。「机上の教科書などをまっすぐにしてあげる」「当番の仕事を手伝う」「褒め言葉を伝える」など簡単なことでよいと伝えます。

帰りの会で答え合わせをします。よいことをした人の所へ行き「◯◯をしました」と伝えてもらいます。その時に、してもらった子に「ありがとう」とお礼を伝えるようにします。

秘密の恩送りゲームを始める語りのステップは、1. 「現状把握」:世界中の人を幸せにする方法を考える、2. 「心に響く語り」:恩送りの語りをする、3. 「未来を選択させる」:幸せになるゲームを提案する、です。下記を参考に幸せになるゲームとして、秘密の恩送りゲームを子どもたちに提案してみてください。

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(漫画:学事出版提供)