文部科学省は2023年7月7日、付属学校を持つ国立大学法人学長に対し、教職員が「いじめ重大事態」に適切に対応するよう周知徹底を求める通知を出した。さらに、全国の学校に対しても、新たに作成した重大事態対応のためのチェックリストを配布し、対応の徹底を求めた。
国立大附属小でいじめへの不適切対応を受け改善要求
通知は国立大学附属小学校での不適切対応が相次いだことを受けて行われた。茨城大学教育学部附属小学校(茨城県水戸市)は、2021年11月に不登校だった当時4年生の女子児童について、いじめ防止対策推進法上の「重大事態」に該当すると認定。しかし、1年3カ月後の23年2月まで同校は文科省に報告していなかった。
東京学芸大学附属大泉小学校(東京都練馬区)では、22年に当時5年生の男子児童が複数回にわたっていじめ被害を訴えていたのに、当初管理職への報告はなく、報告されたのは22年12月。さらに4カ月後の2023年4月まで同校は大学や文科省に報告しなかった。
通達では、学校が一丸となって組織的にいじめの早期発見・早期対応に努め、いじめを受けた児童生徒を徹底して守り通すことが重要と指摘。いじめ対策組織や学内の管理体制が形骸化していないか定期的に確認し、ガバナンス体制も見直すよう要請した。
いじめ重大事態のチェックリストで対応漏れを防ぐ
文科省はいじめ重大事態への対応マニュアルをまとめたチェックリストをすべての国立学校、公立学校、私立・公立大学附属・株立学校向けにそれぞれ作成。
いずれもいじめ重大事態について①発生から調査開始、②調査の実施、③調査結果の説明・報告、④調査結果の公表検討に至るまでの手順をまとめている。チェック欄に対応年月日も記入させることで、漏れの発生がないようにしている。
チェックリストは以下のURLで確認できる。なお、本チェックリストは「編集可能なファイルで配布しますので、適宜各学校及び学校設置者において編集等いただける」とのことだ。
調査元:
いじめ防止対策推進法等に基づくいじめ重大事態への適切な対応等 の徹底について(通知)
「いじめ重大事態調査の基本的な対応チェックリスト」の配布について