フランスのパリに本社を置く市場調査会社イプソスが世界29カ国の人に教育に関する意識調査を実施したところ、「自分の子供や知り合いの若者に、教員になるよう勧めたい」という日本人は19%で29カ国中ワースト2となった。「あなたの国では、大半の教員が仕事に熱心に取り組んでいる」と考える日本人も47%で、最下位だった。教員という職業に対する国民の評価の低さがうかがえる結果となった。
「教員は仕事熱心」と考える日本人は半数を切って最下位
イプソスは2023年6月23日~7月7日、インドネシア、シンガポール、タイ、米国、カナダ、アイルランド、マレーシア、南アフリカ、トルコなど世界29カ国 2万3248人に調査した。
「自分の子供や知り合いの若者に、教員になるよう勧めたい」という設問に「そう思う」と答えた日本人は19%で、29カ国中2番目に低い数字だった。この設問に対する各国の回答平均値は43%で、大きく下回る結果となった。最下位はハンガリー(16%)だった。一方、「そう思わない」と答えた日本人の割合は63%で、上位4番目だった。
「あなたの国では、大半の教員に十分な給与が支払われている」という設問に「そう思う」と答えた日本人は31%、29カ国中4番目に低かった。各国の回答平均値は46%で、最下位はアルゼンチン。次いでハンガリー、チリ、日本(ブラジルと同率)だった。OECD(経済協力開発機構)による報告書「図表でみる教育2023」でも、日本の教員給与が加盟国の平均を下回っていることが明らかになっている。
「あなたの国では、大半の教員が仕事に熱心に取り組んでいる」という設問に「そう思う」と答えた日本人は47%で、同率の韓国とともに29カ国中最下位だった。この傾向は「あなたの国の教育システムが直面している最大の課題は何だと思いますか?」という設問への回答にも出ており、日本人の40%が「教員教育が不十分」と回答。29カ国中2番目に高い数字で(トップはペルーの45%)、各国の回答平均値は25%だった。
国内の教員に向けられる評価の今後は?
国内では、教員の過重労働や人手不足、なり手不足が社会問題となっている。
こうした現状を踏まえ、調査したイプソスの内田俊一代表取締役社長は「教職へのイメージ、社会的地位、教員研修のクオリティーなど、教員・教育に向けられる評価が、諸外国に比べて著しく低い結果となった。現在、文部科学省で『学校における働き方改革』が進められているが、こうした抜本改革や教育研修のあり方、内容の見直しによって、教育の質の向上、教員不足の解消、さらには教員の社会的地位の向上が早急に推進されていくことを期待する」としている。
調査元:イプソス
https://www.ipsos.com/ja-jp/global-education-monitor-2023-JA