WBCで注目される今、考えたい「球児のケガ・故障」 「成長期の子と野球の付き合い方」専門家が解説

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WBC表彰式。表彰台で優勝トロフィーを掲げる大谷翔平。成長期には無理をしなかったようです(写真:AFP=時事)

3月21日、日本代表・侍ジャパンは、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝でアメリカに勝ち、3大会ぶり3回目の優勝を果たした。今大会のMVP(最優秀選手)には大谷翔平選手、ベストナイン「オールWBCチーム」には大谷選手と吉田正尚選手が選ばれている。WBC決勝戦の視聴率は、驚異の42.4%。侍ジャパンや野球に、憧れの気持ちを持った子どもも多かったのではないだろうか。

野球に限らず、思い切り体を動かすことや、チームが一丸となって闘うこと、そして技術が向上することなど、スポーツにはメリットが多い。一方で、考えなければならないのはケガや障害(故障)の問題だ。

成長期の子どもは、野球とどう付き合っていけばいいか。ケガや故障との関係と、親が心がけたいことについて、群馬県で野球の指導者講習を行い、プロ野球選手の肘治療なども行っている整形外科医の古島弘三さん(慶友整形外科病院スポーツ医学センター長)に話を聞いた。

日本の小中学生は練習しすぎ

ケガとは、打撲や捻挫(ねんざ)、突き指、骨折などの予期せぬ外傷などのこと。障害とは、野球肘や腰椎分離症など繰り返し動作に伴う人体の組織の損傷を指す。野球で生じやすいのは、ピッチャーなどに起こる「肘障害」だ。

以前からダルビッシュ有選手をはじめとするプロ選手も、SNSやインタビューを通じて、子どもたちに過度の練習、投げ込みや走り込みなどを行わせないようにと警鐘を鳴らしてきた。

「日本の子どもの野球の練習量は、間違いなく多すぎます。小中学生でさえ、高校生並みに1日中練習を行うチームもあるほど。それでは負荷が大きすぎるんです」と古島さん。

古島さんが成長期の野球選手406人を調べたところ、肘障害の確率は練習時間が3時間未満であれば約18%だが、3時間以上5時間未満だと38%、5時間以上だと約56%。練習時間が多いほど増えていた。

グラフ:古島さん提供
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