米当局が警鐘「レーシック後遺症リスク」の具体例 視覚異常やドライアイ、うつ状態に陥る場合も

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アメリカでは毎年50万人を超える成人が、視力改善のためにレーシック手術を受けている(写真:Uli Seit/The New York Times)

レーシック手術を検討している患者に対し、ものが二重に見える複視、ドライアイ、夜間の運転のしづらさ、そしてまれにではあるが慢性的な眼痛が残る可能性があると警告するガイダンス案が、アメリカ食品医薬品局(FDA)によって作成された。手術しても眼鏡が不要にならない場合もある、といった警告も含まれている。

アメリカでは毎年50万人以上が受けている

ガイダンスが発効すれば、衝撃を受ける国民は多いだろう。アメリカでは、レーシックは一般的で安全な手術と考えている人が多いからだ。毎年50万人を超える成人が、視力改善のためにレーシック手術を受けている。

角膜を削って形状を変更するのが、レーシック手術だ。角膜は眼球の前面を覆う透明なドーム状の膜で、そこで集められた光が眼球後方の網膜に映し出される。レーシック手術では、まず角膜に切れ目を入れてフラップと呼ばれるふたを作成。そのフラップをめくり、角膜をレーザーで削って光の屈折率を調節した後、フラップを元に戻す。

手術は通常、片眼につき15分もかからないが、保険適用外の美容外科手術に分類されるため、数千ドル(数十万円)の費用を患者が全額自己負担するのが普通だ。レーシック手術を手がけるクリニックは、患者の90〜95%が結果に満足しているという調査結果を根拠に、無料相談や大幅な値引きを提供して手術を勧めることが多い。

FDAのガイダンスは最終版となっているわけではない。7月に草案が公開されて以降、600を超える個人と団体がコメントを寄せており、FDAは現在、寄せられたコメントを精査しつつ最終版の作成を進めている段階だと、当局者らは語っている。

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