2022年春、外債などで巨額の売却損を出したりそな。他社に先駆けて損切りを決断したのはなぜか。南昌宏社長に聞いた。
「自分たちの判断が正しかったということは、中長期的に結果を出して証明していきたい」。さかのぼること2022年5月、りそなホールディングスの南昌宏社長は決算説明会上、そう述べて理解を求めた。
約550億円――。2022年1~3月の間に、りそなが外債などの売却で計上した損失額だ。その結果、純利益は1099億円と前期比で11%以上の減益となった。資金利益に加えて、注力分野の資産運用や法人コンサルティング、不動産業務はいずれも好調。ひとえに外債の売却損が足を引っ張った。
りそなは1月末時点で、通期の純利益を1450億円と見込んでいた。すなわち、2~3月の間に売却を決断したことになる。背景にあるのは「逆ザヤ」への危機感だった。
最大700億弱もの資金が流出する可能性
当時りそな社内では、外債運用のシミュレーションが行われていた。アメリカなどでの急速な金利上昇に伴い、外債の時価が大きく下落し、含み損が膨らんでいたためだ(各銀行が抱える外債の含み損について詳細はこちら)。
同社が保有していた外債は、満期までの期間が平均5~6年あった。含み損が膨らんでも、満期まで保有すれば損失は表面化しない。一方でその間の海外金利の上昇によって、外貨調達コストと運用利回りが逆転する「逆ザヤ」が生じる懸念があった。そこで、想定する金利上昇ペースと、外債ポートフォリオを照らし合わせた場合の損益を試算していたのだ。
結果は深刻だった。
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