関西屈指の進学校・大阪星光学院、企業の経営課題に挑む「探究学習」の中身 教科学習で出合わない難しい課題の解決に奮闘

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2020年の小学校を皮切りに中学校で21年、高等学校では22年から実施されている新学習指導要領において、とりわけ重点が置かれているのが「探究学習」だ。全国の小・中・高校で取り組みが加速しているが、どんな学びを展開すべきか模索している学校も少なくない。そんな中、企業と連携したユニークな「探究学習」授業を実施しているのが関西屈指の進学校、大阪星光学院中学校・高等学校だ。どのような取り組みなのかを取材した。

企業の課題解決に取り組む「探究学習」授業とは?

「探究学習」は、生徒が自ら課題を発見し、主体的に、あるいは他者と対話しながら答えを探っていく、教科を超えた横断的、総合的な学びを指す。変化の激しい社会の中にあって、探究的な見方や考え方を働かせ、自分の生き方を考えていける力を育むことが目標とされている。新学習指導要領の実施を契機に、全国の小・中・高校で「探究学習」を取り入れる動きが加速している。

大阪星光学院中学校・高等学校(以下、大阪星光学院)では、2022年から企業と連携したユニークな探究学習授業「星ゼミ探究+」を実施している。企業が抱える実際の経営課題に対し、生徒がビジネスプランを考え、提案するという実践的なプログラムだ。

協力しているのは、スタートアップのウェルタスと、その親会社である三井物産。生徒に与えられた課題は、ウェルタスが販売を開始したばかりの生活習慣病のリスクをスコア化する血液検査サービス「My Nightingale(マイナイチンゲール)」を日本に普及させるためのビジネスプランを考え、提案することである。

参加するのは、中学3年生から高校2年生までの希望者65名。12グループに分かれ、半年間かけて提案書を作成し、ウェルタスおよび三井物産にプレゼンテーションを行う。審査員を務める教員、ウェルタス、三井物産が評価し、3グループを選出。選ばれたグループは、東京の三井物産の本社で役員らを前にプレゼンテーションを行い、最終的にプランが採用されれば、ウェルタスで実行されるというものだ。

3月、授業はまず企業やサービスを知るところから始まった。ウェルタスの社員が講師として自社についてレクチャー。続いて、マーケティングやプロモーションについての基礎知識を学習する。コカ・コーラとペプシコーラを例に、それぞれの企業のマーケティング戦略を比較するなど、実践形式で授業は進んでいった。4月に入り新学期が始まってからは週1回、放課後にミーティングの時間を設定。グループごとに集まって、リサーチやマーケティング戦略作りに取り組んだ。

3月にスタートした「星ゼミ探究+」。放課後などにグループごとに集まって、リサーチやマーケティング戦略作りに取り組む

ビジネスや経営を学べるプログラムをつくりたい

「実社会におけるビジネスとはいったいどのようなものか、またそこではどんな力が必要とされるのか、生徒たちに肌で感じてほしいと考えています」

今回の探究学習授業を発案・担当する大阪星光学院・数学科教諭の小島敬氏は、そう狙いを語る。新しいプログラムをつくるきっかけになったのが、中学3年生から高校2年生までを対象に、毎週土曜に開催している特別授業「星ゼミ土曜講座」だった。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事