1月20日、トランプ氏が米国大統領に就任した。当選自体がサプライズだったが、政治に関し素人であるリーダーの誕生は、英国の国民投票と並んで、将来の不確実性の高まりを予感させた。今年はフランス大統領選挙とドイツ連邦議会選挙が予定されており、欧州の動向も見通しが立ちにくい。東アジアでは韓国で大統領不在が混乱を引き起こし、国際政治に起因する不確実性の高い一年が始まった感がある。
そうした状況を反映し、「リスク」や「不確実性」などの言葉が新聞紙上に登場する頻度が高まっている。日経各紙を検索したところ、昨年1年間で「不確実性」という言葉が使われた記事は338件で、前年の138件から大きく増加した。米ニューヨーク・タイムズ紙でも、前年と比較して「不確実性」に相当する語を含んだ記事が急増していた。
一般に、人々が不確実性の増大を感じるのは「悪いニュース」の生じたときが多い。それは、人々の間で将来への強い懸念が生じるからだ。特に、経済面の「悪いニュース」は人々の将来不安と直結する。だからこそ、不確実性が強く感じられる時代は不況期であることが多い。米スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授は、米国の株式市場の変動を増大させた17のショックを分類し、一つを除いて「悪いニュース」であったことを見いだした。
しかし、より大きな問題は、不確実性の高まりそのものが経済に悪影響を及ぼす可能性があることだ。その点について、経済理論では「様子見」によって投資や消費が手控えられるリスクを強調する。たとえば、不確実性が高い状況下では、企業は規模の大きな投資をすることに躊躇するようになるが、それは投資には失敗するリスクがある以上、そのリスクが十分に小さくなるまで先延ばしにするのが得策だからだ。投資は、一度実行すると撤回することはできないという意味で不可逆的な意思決定だ。不確実性の高まりは、そうした意思決定を躊躇させる。
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